暴れん坊583系2012-年末大暴れスペシャル!!-
583系 あけぼの JR東日本 東北本線 信越本線 仙山線 東北新幹線 はやて 白鳥 JR北海道 スーパー白鳥 つがる 国鉄 ブルートレイン 24系シリーズ 奥羽本線 山形新幹線 鳥海 秋田新幹線 こまち きたぐに 上越新幹線 Maxとき 湖西線 つるぎ 115系シリーズ JR西日本 立山 雷鳥 500系シリーズ 489系 485系シリーズ 183系シリーズ
①臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行き
◆マスコミと化したレールファン
2012年12月29日(土曜日)20時頃、JR東日本上野へ。東北本線14番線は、すでにレールファンが大集結し、“報道陣”と化している。鉄道に関心のない人々は、“何事か?”と思っている様子で、子細を警備員に訪ねていた。ある人はスーパースターがやってくるものと思っていたらしい。
20時07分、14番線に臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行きが入線した。多くのレールファンはカメラを高く上げて、夢中でシャッターを切っている。
14番線の車止めの先では、場所をわきまえず三脚2台を立てて撮影する未成年2人がいた。ホームの撮影では三脚、一脚を立ててはいけないのが基本だということをわかっていない(三脚、一脚を持ち上げるのはOKらしい)。数人の大人から怒号を浴びると、未成年2人は「わかりましたよ」と半ば逆ギレして、この場を去った。
発車まで30分近くあるせいか、ある程度撮影したら、後ろで待っている人々に譲っていた。後ろは満員電車に乗っているような感覚で、撮影を終えた人は集団を抜け出すのに手間取っていた。
◆久々に583系で運転
583系の臨時寝台特急〈あけぼの〉は、平成8年(1996年)夏季以来、16年ぶりの運転となる。久々にJR東日本の583系を見るが、年々重厚さが増していると思う。首都圏の在来線では、ステンレス車体の電車が圧倒的に多いからだろうか。
臨時寝台特急〈あけぼの81号〉は、「青森行き」ではなく「弘前行き」に疑問を感じる人が少なくないと思う(前回運転された1996年夏季も上野―弘前間で、当時は仙山線経由だった)。弘前―青森間を運転しない理由として考えられるのは、寝台特急〈あけぼの〉(定期)は、上野―秋田・大館間の乗車率が高いことや、翌朝に東京を発車する東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行きの存在が大きいからだ。下記の行程表を御覧いただきたい。
■2012年12月29日(土曜日)旅立ち
上野(臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行き9081M)→837弘前855(普通電車青森行き639M)→933新青森934→940青森
■2012年12月30日(日曜日)旅立ち①
東京600(東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行き8071B)→上野606→942新青森948(寝台特急〈あけぼの〉青森行き2021列車)→955青森
※寝台特急〈あけぼの〉青森行きは、立席特急券(500円)を購入した場合は2段式B寝台に、指定席特急券を購入した場合は、ゴロンとシートに乗車可能。
■2012年12月30日(日曜日)旅立ち②
東京600(東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行き8071B)→上野606→942新青森1016(特急〈スーパー白鳥11号〉函館行き4011M)→1023青森
※特急〈白鳥〉〈スーパー白鳥〉〈つがる〉の自由席は、新青森―青森間利用のみ特急料金免除。
翌朝の東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行きに乗れば、青森到着時刻は最短15分差なのである。さらに、上野から定期の寝台特急〈あけぼの〉青森行きに乗った場合、新青森へは臨時〈はやて71号〉が先に到着するのだ。
◆いよいよ発車
上野14番線は、「ララララララララ…」と発車ベルが鳴る。昔と変わらない音は、国鉄形車両の長距離列車がよく似合う。そして、側扉が閉まり、安全の確認をとると、運転士は警笛を高らかに鳴らし、20時35分に発車した。臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行きを見送ったレールファンの多くが上野を去り、一部は“残業”をする。ブルートレインの寝台特急〈あけぼの〉青森行きを撮影するためである。
20時50分、13番線に寝台特急〈あけぼの〉青森行きが入線した。頭端式ホームのため、電気機関車は推進運転を行なう。回送列車では先頭車となる24系25形100番代金帯の貫通扉が開いており、乗務員が注視している姿に緊張感が漂う。
急行〈あけぼの〉が消滅してから2年後の昭和45年(1970年)7月1日(水曜日)、臨時寝台特急〈あけぼの〉が登場した(3か月後に定期化)。当時は奥羽本線を全線走破し、一時期3往復運転されていた。その後、山形新幹線工事に伴い、福島―山形間を狭軌から標準軌に改軌することになった(一部区間は3線軌道)。このため、平成2年(1990年)9月1日(土曜日)から寝台特急〈あけぼの〉2往復は、2つのルートに分かれる。1往復は上野―小牛田―新庄―青森間のルート、もう1往復は寝台特急〈鳥海〉に改称し、上野―高崎―新津―新発田―秋田―青森間のルートとなった。
平成9年(1997年)3月22日(土曜日)に秋田新幹線〈こまち〉がデビューしたことに伴い、寝台特急〈あけぼの〉は上野―高崎―新津―新発田―秋田―青森間のルートに変わった。このため、同一ルートの寝台特急〈鳥海〉が消滅した(〈鳥海〉は急行、昼行特急、寝台特急で活躍した)。現在では、上野―青森間唯一の夜汽車である。
②臨時急行〈きたぐに〉大阪行き
◆気軽に乗れなくなった臨時急行〈きたぐに〉
2012年12月30日(日曜日)22時頃、JR東日本新潟へ。2013年まであと26時間となったが、万代口から東口までの通路を歩くと、師走という雰囲気がなく、“新年まであと少し”という実感が沸かない。
上越新幹線の終電は、〈Maxとき480号〉越後湯沢行きで、あと数分で発車する。長岡までなら信越本線の臨時普通電車長岡行き8458M(新潟22時49分発、長岡0時03分着。2003年2月28日までの平日運転。ただし、2012年12月31日から2013年1月3日まで運休)、普通電車長岡行き460M(新潟23時16分発、長岡0時30分着)に乗れば間に合うが、燕三条、浦佐、越後湯沢へは〈Maxとき480号〉越後湯沢行きに乗らなければならない。
東口の改札を通り、2番線へ。臨時急行〈きたぐに〉大阪行きが発車するホームだ。2012年3月17日(土曜日)のダイヤ改正で臨時列車に格下げされた。併せてダイヤも大幅に変更され、山科―近江塩津間は湖西線経由に変わった。大阪―新潟間の所要時間は、往年の寝台特急〈つるぎ〉よりも早い。
臨時急行〈きたぐに〉は、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始に運転されている。定期時代は基本10両編成、多客期12両編成で運転されていたが、現在は7両編成だ。減車により、自由席、A寝台の設定をとりやめ、3段式B寝台とグリーン車のみとなったのがさびしい。私は「臨時寝台急行〈きたぐに〉」になると思っていたが、市販の時刻表及び、583系の絵入りヘッドマークと方向幕に星のマークはつかなかった。
東京と新潟は人口、列車本数とも歴然としており、1・2番線で臨時急行〈きたぐに〉大阪行きを待つレールファンや乗客は少ない。前日と違い、静かな雰囲気で撮影することができる。
◆雨の新潟に583系が現れる
22時27分、2番線に臨時急行〈きたぐに〉大阪行きがゆっくりとした速度で入線した。定期運転時代と同じ時刻に入線したが、発車時刻は大幅に繰り上げたため、ゆとりがなくなった。
JR西日本の583系は、塗装を変えているせいか、「重厚」というより、「軽快」なイメージを持つ。幸か不幸か、JR東日本新潟支社の電車は、国鉄鋼製車体が圧倒的に多く、115系は583系の“引き立て役”にならない。115系は一部を除き、塗装を変え、一部は車内をリニューアルされているが、国鉄の雰囲気がまだまだ残っている。
急行〈きたぐに〉が583系に変わったのは、昭和60年(1985年)3月14日(木曜日)のダイヤ改正からである。このダイヤ改正で消滅した583系の臨時急行〈立山〉に倣い、ひとつの編成に自由席、グリーン車、3段式B寝台を設定したほか、“急行〈きたぐに〉ならでは”として、サハネ581形をA寝台に改造したサロネ581形を連結させた(臨時エル特急〈雷鳥〉運転時のサロネ581形は、普通車扱い)。
583系置き換え当初のヘッドマークも臨時急行〈立山〉に倣い、「急行」のみだったが、昭和61年(1986年)8月中旬から向日町運転所(現・吹田総合車両所京都支所)職員の発案により、佐渡おけさを踊る女性と、日本海の海外線を描いたものに変わった。「試用」という名目で掲出した絵入りヘッドマークは、そのまま本採用となる。
平成6年(1994年)12月3日(土曜日)以降、急行〈きたぐに〉は583系唯一の定期列車として、ひときわ注目を集める存在となる。それとともに、急行〈きたぐに〉に“後継車”が現れず、夜行列車衰退の影響を受けていたといえる。
◆JR西日本583系、あと数年で消滅?!
臨時急行〈きたぐに〉大阪行きは、そこそこの乗車率で22時37分に発車し、闇の世界へ消えていった。
さて、国鉄が分割民営化された際、583系はJR東日本141両、JR西日本60両、JR北海道7両をそれぞれ保有した。その後、JR東日本所属車は徐々に廃車が進み、JR北海道所属車は1度も営業運転に就くことなく数年ですべて廃車(JR北海道所属車はすべてサハネ581形で、分割民営化直前に津軽海峡を渡った)、JR西日本所属車は20年以上安泰だった。現在、JR東日本所属車は6両、JR西日本所属車は21両しかない。
2012年12月19日(水曜日)、JR西日本は2016年春の予定で、京都市下京区観喜寺町に鉄道博物館(仮称)開業を発表した。展示車両は、500系量産車、489系ボンネット車、583系などを予定している。これにより、JR西日本所属の583系は、2016年春までに営業運転を終了する可能性が出てきた。2013年春季以降、臨時急行〈きたぐに〉を運転させるかどうかは未定だが、仮に1編成が廃車されてしまうと予備車がなくなり、上下列車とも隔日運転にして万全を期す可能性がある(突発的な車両故障が発生すると、運休になる恐れがあるため)。
JR西日本は、2013年3月16日(土曜日)のダイヤ改正で、485系改造の183系が定期運転を終える予定で、廃車になるのが目に見えている。同社は在来線の車両寿命を40年程度と考えており、485系、489系、183系、583系はそれに該当する。
現存する583系は、すべて車齢40年を超えている。JR東日本の現存6両については、2003年に大規模な修繕工事を行ない、美しい姿によみがらせた。不慮の事故がなければ、まだまだ活躍すると信じている。
一方、JR西日本は「体質改善工事」を確立していない、平成3・4年度(1991・1992年度)に特別保全工事を実施した。車両リニューアル実施年を“折り返し地点”と考えた場合、限界が近づきつつある。
★備考
581/583系を使用した列車について(東北・常磐路編)
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