JRおおみや鉄道ふれあいフェア2011
国鉄 秩父鉄道 113系シリーズ 201系 EF58形 24系シリーズ 301系 祈り 南武線 HB-E-300系 キハE200形 スマート電池くん 絆 山手線 205系シリーズ 京葉線 203系シリーズ E351系シリーズ EF64形シリーズ ムーンライト九州 EH200形 キヤE991形 EF66形シリーズ D51形 185系シリーズ N700系シリーズ 輝望 JR貨物 250系 700系シリーズ 253系シリーズ 200系 100系 JR西日本 東武鉄道 115系シリーズ EF510形 E5系 TBS 東北地方太平洋沖地震 車両基地イベント 埼玉新都市交通 209系シリーズ EH500形 上越新幹線 ムーンライトながら 東北新幹線 京浜東北線 E995系 フラノエクスプレス JR東日本 キハ80系 夢空間 C11形 JR北海道 試乗 あけぼの C58形 真岡鐵道 ゆうづる 北斗星 あかつき M250系 JRおおみや鉄道ふれあいフェア ブルートレイン 武蔵野線 HD300形 はちおうじ日光 DE10形シリーズ EF80形 常磐線 EF81形シリーズ EF60形 EF65形シリーズ
◆5か月遅れの開催

2011年10月15日(土曜日)11時56分、JR東日本大宮総合車両センターに到着(3年連続6回目の来訪)。毎年恒例となる『JRおおみや鉄道ふれあいフェア』を開催しているが、今年は久々の10月開催となった(ここ数年は5月に開催)。このイベントは同年3月11日(金曜日)に発生した東北地方太平洋沖地震(以下、「東日本大震災」)の影響で、当初は中止を発表していたが、季節が秋に変わると一転して開催することになった。今月は川崎市制記念多摩川花火大会、足立の花火が相次いで“延期開催”しており、この秋は例年以上に“イベントラッシュ”かもしれない。
朝起きたら、台風なみの暴風雨だったが、10時を過ぎると雨がやみ、私は腰をあげた。あいにくのお天気のせいか、例年より来訪客が少ない。

東北・上越新幹線及び埼玉新都市交通の高架下へ行くと、電気レスキュー車とマジックボーイの展示が行なわれている。後者は線路上を走行しており、ゴンドラに乗っている子供たちが大喜びしている。

その右側はストラックアウト。TBSのスポーツ番組で観た記憶があるものの、実際にやるのは初めて。会場は幼児たちが挑戦しているが、係員に聞いたら年齢制限がないというので私もやってみる。
ルールは4球投げるチャンスがあり、ど真ん中のE5系がA賞、ほかがB賞の商品をGETすることができる。ボールは特製で、イボイボのカタマリみたいな感じだが、別の係員が「粘着力がだんだんなくなっていますので…」と私に説明する。最初、聞いていて意味がよくわからなかったが、とりあえず野球のストレートの握りができることを確認し、いざ1球目。ボールは右打者の内角高めへ行くものの、残念ながらB賞のマトを外れる。ボールを投げるのは久々で、右肩がしっくりこない。
2球目、115系湘南色(B賞)のマトに当たりはしたが、パネルを射抜くことができず、ボールは地面に落ちる。
「あちゃー」
と私がつぶやくと、意外な展開が待っていた。
「B賞でーす」
係員が商品GETを告げる。“エーッ?”と一瞬頭が混乱したが、このマトは射抜くことができない“固定式”だったのだ(TBSの映像が脳裏に焼きついていた)。そして、別の係員が言った「粘着力」の意味が初めてわかった瞬間だった。
3球目は投げた瞬間の大暴投で大ハズレ。最後の4球目はE5系に当たり、ボールがマトにくっついた。「会心の1球」というわけではなく、たまたま当たっただけで、特製ボールは非常に投げづらかった。ちなみに、私は学生時代、授業と講義のみだがソフトボールで投手を務めており、その経験がJR東日本版ストラックアウトで活きたのかもしれない(野球やソフトボール経験のない人は、ボールをわしづかみにして投げる)。
A・B賞の商品をGETし、幸先がいいスタートとなった。
◆E5系試乗?!

高架下を北寄りへ歩くと、「貯蔵品置場」で立ち止まる。色々なものを保管しているが、柱に「ホロ落成品置場」に目が行く。読んで字の如く、新品の幌が雨に濡れないよう、「ホロ置台」にたくさん並んでおり、“消耗品”であることを物語っている。

その先はATカートで、「レールスター」と呼ばれるものだが、その名を聞くと、JR西日本700系7000番代を真っ先に思い浮かぶ。入口でいただいたリーフレットを見ると、「ATカート」と案内していた。ATカートは車両不具合が発生し、係員総出で点検をしていたが、復旧して“運転再開”となった。


イベントで人気があるミニSLは、例年通りD51形498号機と24系25形客車(『夢空間』主体)のミニチュアによる運転だ。“沿線”では大宮消防署の消防車等を展示している。この光景は例年通りだが、これから先は火事が多発する季節になるので、充分気をつけたいところ。
ミニ新幹線は例年だと環状運転だが、天気がよくないため、直線折り返しによる1往復運転に変更されていた(ミニSLと同じ方式)。のりものコーナーの多くは高架下で開催しているため、雨天中止がないというメリットがある(このイベントは雨天決行)。

ミニ新幹線の車両は長らくE4系が務めていたが、今年はE5系に変更した。来年もE5系になりそうな気配だが、天気がよくないせいか、乗車待ちをしている人が少ない。

ミニ新幹線の“沿線”を歩くと、元京浜東北線209系と元京葉線205系(元山手線配属車でもある)が仲良く留置。特に前者は昨年から動きがなく、房総各線用及び南武線用の改造対象外だったようだ。先頭車しかないのだから、鉄道博物館の展示待ちなのか? 一方、後者は3両つないでいるが、先頭車は1両しかなく、今後の行方が気になる。そして、別の場所には301系が留置しており、方向幕は「原木中山」を表示。2009年は「妙典」、2010年は「快速高田馬場」をそれぞれ表示しており、毎年変わっている。これから先も動きがないのであれば、2012年開催時は301系と209系が“「車両展示広場」という名のヒノキ舞台”にあがることを願う。
さて、ふとE5系ミニ新幹線を眺めると、レールファンの集団が乗っていた。例年ならば、ほとんど家族連れが乗っており、個人や集団で訪れているレールファンは自重していたが、今年は天気の影響、あるいはE5系に乗ったことがないこともあってか、“気軽”に利用できるようだ。私もE5系未乗車なので、乗ってみることにしよう。
入口で係員から「ミニ新幹線 記念乗車券」をいただく。プラスチック製で、表には記念乗車券の文字とE5系のロゴ、ウラにはE5系の写真で、永久保存用として作られているのがわかる。
意外なことに待ち時間なしでE5系ミニ新幹線乗車(E526-101)。先頭車に号車札はないが、グランクラスのマークがあり、これならば気軽に乗れるものの、すでに先客がいるため、前から4両目の車両に落ち着く。

E5系ミニ新幹線が発車すると、前方の奥にEF58形93号機が見えた。その後ろに赤い電気機関車があり、EF80形36号機だろうか。このスペースは、“物置”または“控え室”と化しているが、高架下がさいわいし、“雨ざらし”による劣化を防いでいる。そのあと、209系、205系、301系を撮影。E5系ミニ新幹線乗車に乗れば、より近くで撮れる(ものすごい望遠レンズがあれば、乗る必要はないが……)。
あっという間に折り返し地点へ到着。ほどなくしてスタート地点に戻り、E5系ミニ新幹線の乗車が終わる。いつかは“実物のE5系”に乗ってみたいが、実現する日はそう遠くないと思う。
◆M250系をじっくり眺める

ミニ新幹線をあとにして、「実習館」へ。鉄道部品の販売会場となっており、パンタグラフ、台車があるものの、これはウリモノではない。商品は青いビニールシートに陳列していたが、ほとんど売れたようだ。残っているのは、武蔵野線や南武線の205系方向幕(前面、側面)、京葉線201系の方向幕と行先指令器、京葉線201系、常磐線203系、E351系、253系の側面方向幕セットだ。ほとんどの商品は汚れや傷があるという。方向幕は3500円、側面方向幕セットは2萬円が多い。側面方向幕セットはワレモノ、壊れ物なので、ダンボールは強度を向上したものを使い、梱包している。

JR貨物大宮車両所付近にDE10形1556号機が鎮座している。DE10形は貨車入換作業用、貨物列車などで長年活躍しているディーゼル機関車だが、将来、展示車両はHD300形ハイブリッド機関車に変わってゆくだろう。DE10形1556号機を眺めると、貫禄を感じる。

いよいよJR貨物大宮車両所に入ると、M250系『スーパーレールカーゴ』がお出迎え。運転室を公開しているが、待ち時間45分。11時までに来場していたら、入ることを考えていたかもしれないが、例年通り自重する。

M250系は電気機関車を思わせる大柄なボディーだが、電車である。近辺にはT260形もあり、車両形式名を見なければ、コキと勘違いしそうだ。
M250系は世界初のコンテナ専用電車型貨物列車で、2003年に誕生し、2004年3月13日(土曜日)にデビューした。編成両端に電動車を各2両、中間に付随車を12両連結し、最高速度130㎞/hで東京貨物ターミナル―安治川口間を6時間台で結んでいる(安治川口は大阪府大阪市に所在する)。ちなみに、M250系は佐川急便のコンテナのみを搭載した事実上の“貸し切り列車”てある。
貼付している「車両の紹介」を見ると、M250系の意味は、「M」はMultiple-unit-train(動力分散列車)の頭文字。「2」は駆動方式と電気方式を表している。これはEF210形などと同じ誘導モーター駆動方式で、国鉄時代から車両形式の百の位の1・2・3は直流電車という決まりがある。ちなみに、機関車の3ケタ形式は分割民営化後に採用している。「5」は最高速度を表し、一と十の位の「50」以降は最高速度110㎞/hを表すという。ただし、JR貨物が設計した電気機関車は、すべて110㎞/h運転に対応しているため、この場合は「電車の最高速度は110㎞/h以上」をさすのではないかと考えられる。
M250系1列車の輸送量は10トントラック56台分に相当し、1年間で14000トンの二酸化炭素を削減しており、地球環境に貢献している。近年は環境問題に対する取り組みが活発になっているが、将来は電気トラックが開発されると、鉄道貨物輸送に大きな変化が訪れるかもしれない。
余談だが、M250系は2005年鉄道友の会ブルーリボン賞に輝いた。これにより、JRグループ全社は同賞を受賞したことになる(ただし、JR北海道は、国鉄末期にキハ80系を改造したキハ83・84形『フラノエクスプレス』が受賞しており、自社設計車で同賞を獲得したことはない)。ちなみに、私は定期運行時代の快速〈ムーンライトながら〉大垣行きでM250系を見たことがある。
◆復興を前面に掲げて


M250系の左側はマジシャンがトランプマジックを行ない、子供たちは食い入るように見つめている。それを見届けると、少し先に「SUPER UR」という白いコンテナを展示していた。このコンテナは冷機循環ファンを装備しているという。中を拝見すると、確かに冷機循環ファンがあり、ステンレス板で冷却効果を高めている。ちなみに、通常のコンテナは夏の湿度対策で防板を使用している。

その隣は通常のコンテナで、左側が鉄道貨物のPR映像を流し、右側が「たちあがろう東北」のヘッドマークを展示。ここから先は“復興祈念色”が強くなる。




隣の2車体連接電気機関車、EH500-25はヘッドマークと側面ステッカーの掲出を行なった。1号車は両方とも「みんなと一緒に!―がんばろう! 東北(ヘッドマークは大宮車両所特製)」、2号車のヘッドマークは「がんばろう東北 がんばろう日本(大宮車両所特製)」、側面ステッカーは「がんばろう! 福島」だ。東日本大震災後、JR東日本(新幹線とEF510形500番代)、東武鉄道(100系、200系、250系)は復興祈念ステッカーを掲出。前者は現在も続いているが、後者は100系第9編成と250系以外は、予定通り掲出を終了している。


その向かい側には、Nゲージがあり、N700系8両車、E5系、南武線205系(先頭車のみ205系1200番代)、南武線209系、臨時快速〈ムーンライト九州〉、185系200番代、EF66形JR貨物初期の塗装変更車による貨物列車、EF510形+EH200形重連貨物列車などが縦横無尽に走り回っている。まさに“夢の球宴”といったところだ。


EF64形1000番代は、北側が大宮車両所特製の〈絆〉、南側が寝台特急〈あけぼの〉をそれぞれ掲出。EF64形1000番代貨物色の寝台特急〈あけぼの〉は、定番となっている。

どんどん前へ進み、DE10形1020号機が検査中で、“顔”を外して、“脳みそ”を公開。この光景を初めて見たときは衝撃を受けたが、今は見慣れてきた。このディーゼル機関車はまだまだ活躍を続け、「国鉄」という時代があったことを子供たちに伝えているかのようだ。

HOゲージでは、EF66形オリジナルカラー牽引の貨物列車と、蒸気機関車牽引の旅客列車が走行。前者はのちにEF66形100番代に交代したが、後者は力強い走りの音が聞こえてくるハイテク品だ。

その奥ではEF65形1070号機がHOゲージを温かく見守っていた。
◆今年は蒸気機関車2両を展示


再び大宮総合車両センターゾーンへ。車両展示広場は、ちょうどEF60形510号機の北寄りヘッドマークを寝台特急〈はやぶさ〉の新品から、年季が入った国鉄時代に製作したものに変えている最中だった。サビや傷が多く、“過酷な仕事”であったことを物語る。今は東北新幹線E5系最速列車の愛称として再び鉄路に蘇ったが、“現代の〈はやぶさ〉”に慣れてきたレールファンも多いと思う。南寄りは寝台特急〈あさかぜ〉が新調のヘッドマークで蘇った。機関車だけなら、いつでも運転再開できそうな気がするが、今は“「機関車」という名の相棒”がいないと動けない客車が“時代遅れ”となってしまっている。


EF65形535号機は、「ゴサゴ」と呼ばれる電気機関車で、昨年開催時は大宮総合車両センター付近で永久保存を訴える署名活動が行なわれた。それが天に通じたのか、今年も展示している。北寄りはヘッドマーク未掲出だったが、南寄りは寝台特急〈あかつき〉が蘇った。

EF65形535号機の北寄りはヘッドマークを掲出していたらしい。これは大宮総合車両センター特製2つのヘッドマークで、いずれも夜行列車をイメージしている。
〈輝望〉に描かれている松は岩手県陸前高田市にある高田松原を舞台している。現地は東日本大震災前に一本松は約7万本あったが、大津波に流され、たった1本だけが奇跡的に突然襲われた苦痛に耐えた。凛と立つ、たった1本の松の木は、人々に希望と勇気を与えたという。ヘッドマークは復興の願いを込め、三日月と星を添え、寝台特急ふうに仕上げた。
〈祈り〉は平和を願う象徴といえる折鶴、宮城県仙台市の広瀬川、同県石巻市の北上川などで行なわれた灯篭流しを描き、犠牲者の方々への鎮魂の意味を込めて制作したという。
被災地完全復興の暁には、ぜひ寝台特急〈輝望〉〈祈り〉〈絆〉の運行を願いたい。


EF81形81号機は車体側面に流れ星を入れた寝台特急〈北斗星〉用で、貨物列車も牽引していた。北寄りは常磐線経由のブルートレイン、寝台特急〈ゆうづる〉を掲出。同線は東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故も重なり、現在も広野―亘理間が不通となっている。寝台特急〈ゆうづる〉のヘッドマーク掲出は、意義を感じ取ることができる。ちなみに、南寄りは寝台特急〈あけぼの〉で、“上野発青森行き最後の夜行列車”として、以前よりも存在感が高まっている。

さて、時刻は13時50分を過ぎ、EF81形81号機の隣に253系1000番代が通過。今年の試乗会は253系1000番代が選ばれ、ヘッドマークと方向LEDを臨時特急〈はちおうじ日光〉にセットし、座席は向かい合わせにしている。

EF510形500番代は、2両展示しており、“ブルートレインカラー”の501号機の北寄りは臨時寝台特急〈エルム〉、南寄りは寝台特急〈北斗星〉をそれぞれ掲出。前者は運行を再開する可能性が「ない」と言ってもよさそうだ。後者は“現職”のヘッドマークを掲出しているが、北海道新幹線開業後も引き続き運行するかどうかが気になる。

510号機の北寄りは『夢空間』を掲出。今や“なつかしの列車”に変わっているが、「EF510形牽引の『夢空間』を見たかった」と思うレールファンも多いのではないだろうか。南寄りは“現職”の寝台特急〈カシオペア〉のヘッドマークを掲出していた。

今回は真岡鐵道のC11形325号機、秩父鉄道のC58形363号機が駆けつけた。いずれも検査のため、大宮総合車両センターに入場しているのだが、5か月遅れたぶん、JR貨物の車両を含め、昨年よりも展示車両が充実した。

そのあと、隣の東北本線に185系200番代の回送が通過し、7~14号車が湘南色というサプライズがあった。また、この日はJR東日本最後の113系が津田沼をたち、両国、新宿経由で大宮を通っている。昼過ぎに大宮で撮影したあと、このイベントに駆けつけたレールファンも多いだろう。
◆まさかのサプライズ







2011年10月15日(土曜日)11時56分、JR東日本大宮総合車両センターに到着(3年連続6回目の来訪)。毎年恒例となる『JRおおみや鉄道ふれあいフェア』を開催しているが、今年は久々の10月開催となった(ここ数年は5月に開催)。このイベントは同年3月11日(金曜日)に発生した東北地方太平洋沖地震(以下、「東日本大震災」)の影響で、当初は中止を発表していたが、季節が秋に変わると一転して開催することになった。今月は川崎市制記念多摩川花火大会、足立の花火が相次いで“延期開催”しており、この秋は例年以上に“イベントラッシュ”かもしれない。
朝起きたら、台風なみの暴風雨だったが、10時を過ぎると雨がやみ、私は腰をあげた。あいにくのお天気のせいか、例年より来訪客が少ない。
東北・上越新幹線及び埼玉新都市交通の高架下へ行くと、電気レスキュー車とマジックボーイの展示が行なわれている。後者は線路上を走行しており、ゴンドラに乗っている子供たちが大喜びしている。
その右側はストラックアウト。TBSのスポーツ番組で観た記憶があるものの、実際にやるのは初めて。会場は幼児たちが挑戦しているが、係員に聞いたら年齢制限がないというので私もやってみる。
ルールは4球投げるチャンスがあり、ど真ん中のE5系がA賞、ほかがB賞の商品をGETすることができる。ボールは特製で、イボイボのカタマリみたいな感じだが、別の係員が「粘着力がだんだんなくなっていますので…」と私に説明する。最初、聞いていて意味がよくわからなかったが、とりあえず野球のストレートの握りができることを確認し、いざ1球目。ボールは右打者の内角高めへ行くものの、残念ながらB賞のマトを外れる。ボールを投げるのは久々で、右肩がしっくりこない。
2球目、115系湘南色(B賞)のマトに当たりはしたが、パネルを射抜くことができず、ボールは地面に落ちる。
「あちゃー」
と私がつぶやくと、意外な展開が待っていた。
「B賞でーす」
係員が商品GETを告げる。“エーッ?”と一瞬頭が混乱したが、このマトは射抜くことができない“固定式”だったのだ(TBSの映像が脳裏に焼きついていた)。そして、別の係員が言った「粘着力」の意味が初めてわかった瞬間だった。
3球目は投げた瞬間の大暴投で大ハズレ。最後の4球目はE5系に当たり、ボールがマトにくっついた。「会心の1球」というわけではなく、たまたま当たっただけで、特製ボールは非常に投げづらかった。ちなみに、私は学生時代、授業と講義のみだがソフトボールで投手を務めており、その経験がJR東日本版ストラックアウトで活きたのかもしれない(野球やソフトボール経験のない人は、ボールをわしづかみにして投げる)。
A・B賞の商品をGETし、幸先がいいスタートとなった。
◆E5系試乗?!
高架下を北寄りへ歩くと、「貯蔵品置場」で立ち止まる。色々なものを保管しているが、柱に「ホロ落成品置場」に目が行く。読んで字の如く、新品の幌が雨に濡れないよう、「ホロ置台」にたくさん並んでおり、“消耗品”であることを物語っている。
その先はATカートで、「レールスター」と呼ばれるものだが、その名を聞くと、JR西日本700系7000番代を真っ先に思い浮かぶ。入口でいただいたリーフレットを見ると、「ATカート」と案内していた。ATカートは車両不具合が発生し、係員総出で点検をしていたが、復旧して“運転再開”となった。
イベントで人気があるミニSLは、例年通りD51形498号機と24系25形客車(『夢空間』主体)のミニチュアによる運転だ。“沿線”では大宮消防署の消防車等を展示している。この光景は例年通りだが、これから先は火事が多発する季節になるので、充分気をつけたいところ。
ミニ新幹線は例年だと環状運転だが、天気がよくないため、直線折り返しによる1往復運転に変更されていた(ミニSLと同じ方式)。のりものコーナーの多くは高架下で開催しているため、雨天中止がないというメリットがある(このイベントは雨天決行)。
ミニ新幹線の車両は長らくE4系が務めていたが、今年はE5系に変更した。来年もE5系になりそうな気配だが、天気がよくないせいか、乗車待ちをしている人が少ない。
ミニ新幹線の“沿線”を歩くと、元京浜東北線209系と元京葉線205系(元山手線配属車でもある)が仲良く留置。特に前者は昨年から動きがなく、房総各線用及び南武線用の改造対象外だったようだ。先頭車しかないのだから、鉄道博物館の展示待ちなのか? 一方、後者は3両つないでいるが、先頭車は1両しかなく、今後の行方が気になる。そして、別の場所には301系が留置しており、方向幕は「原木中山」を表示。2009年は「妙典」、2010年は「快速高田馬場」をそれぞれ表示しており、毎年変わっている。これから先も動きがないのであれば、2012年開催時は301系と209系が“「車両展示広場」という名のヒノキ舞台”にあがることを願う。
さて、ふとE5系ミニ新幹線を眺めると、レールファンの集団が乗っていた。例年ならば、ほとんど家族連れが乗っており、個人や集団で訪れているレールファンは自重していたが、今年は天気の影響、あるいはE5系に乗ったことがないこともあってか、“気軽”に利用できるようだ。私もE5系未乗車なので、乗ってみることにしよう。
入口で係員から「ミニ新幹線 記念乗車券」をいただく。プラスチック製で、表には記念乗車券の文字とE5系のロゴ、ウラにはE5系の写真で、永久保存用として作られているのがわかる。
E5系ミニ新幹線乗車編成表 | |||||
方向 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
北寄り | なし | E514- | 1 | ○ | グランクラスのステッカーあり |
なし | E525- | 401 | ○ | なし | |
なし | E526- | 301 | ○ | なし | |
なし | E525- | 201 | ○ | なし | |
なし | E526- | 101 | ○ | なし | |
南寄り | なし | E523- | 1 | ○ | なし |
意外なことに待ち時間なしでE5系ミニ新幹線乗車(E526-101)。先頭車に号車札はないが、グランクラスのマークがあり、これならば気軽に乗れるものの、すでに先客がいるため、前から4両目の車両に落ち着く。
E5系ミニ新幹線が発車すると、前方の奥にEF58形93号機が見えた。その後ろに赤い電気機関車があり、EF80形36号機だろうか。このスペースは、“物置”または“控え室”と化しているが、高架下がさいわいし、“雨ざらし”による劣化を防いでいる。そのあと、209系、205系、301系を撮影。E5系ミニ新幹線乗車に乗れば、より近くで撮れる(ものすごい望遠レンズがあれば、乗る必要はないが……)。
あっという間に折り返し地点へ到着。ほどなくしてスタート地点に戻り、E5系ミニ新幹線の乗車が終わる。いつかは“実物のE5系”に乗ってみたいが、実現する日はそう遠くないと思う。
◆M250系をじっくり眺める
ミニ新幹線をあとにして、「実習館」へ。鉄道部品の販売会場となっており、パンタグラフ、台車があるものの、これはウリモノではない。商品は青いビニールシートに陳列していたが、ほとんど売れたようだ。残っているのは、武蔵野線や南武線の205系方向幕(前面、側面)、京葉線201系の方向幕と行先指令器、京葉線201系、常磐線203系、E351系、253系の側面方向幕セットだ。ほとんどの商品は汚れや傷があるという。方向幕は3500円、側面方向幕セットは2萬円が多い。側面方向幕セットはワレモノ、壊れ物なので、ダンボールは強度を向上したものを使い、梱包している。
JR貨物大宮車両所付近にDE10形1556号機が鎮座している。DE10形は貨車入換作業用、貨物列車などで長年活躍しているディーゼル機関車だが、将来、展示車両はHD300形ハイブリッド機関車に変わってゆくだろう。DE10形1556号機を眺めると、貫禄を感じる。
いよいよJR貨物大宮車両所に入ると、M250系『スーパーレールカーゴ』がお出迎え。運転室を公開しているが、待ち時間45分。11時までに来場していたら、入ることを考えていたかもしれないが、例年通り自重する。
M250系は電気機関車を思わせる大柄なボディーだが、電車である。近辺にはT260形もあり、車両形式名を見なければ、コキと勘違いしそうだ。
M250系は世界初のコンテナ専用電車型貨物列車で、2003年に誕生し、2004年3月13日(土曜日)にデビューした。編成両端に電動車を各2両、中間に付随車を12両連結し、最高速度130㎞/hで東京貨物ターミナル―安治川口間を6時間台で結んでいる(安治川口は大阪府大阪市に所在する)。ちなみに、M250系は佐川急便のコンテナのみを搭載した事実上の“貸し切り列車”てある。
貼付している「車両の紹介」を見ると、M250系の意味は、「M」はMultiple-unit-train(動力分散列車)の頭文字。「2」は駆動方式と電気方式を表している。これはEF210形などと同じ誘導モーター駆動方式で、国鉄時代から車両形式の百の位の1・2・3は直流電車という決まりがある。ちなみに、機関車の3ケタ形式は分割民営化後に採用している。「5」は最高速度を表し、一と十の位の「50」以降は最高速度110㎞/hを表すという。ただし、JR貨物が設計した電気機関車は、すべて110㎞/h運転に対応しているため、この場合は「電車の最高速度は110㎞/h以上」をさすのではないかと考えられる。
M250系1列車の輸送量は10トントラック56台分に相当し、1年間で14000トンの二酸化炭素を削減しており、地球環境に貢献している。近年は環境問題に対する取り組みが活発になっているが、将来は電気トラックが開発されると、鉄道貨物輸送に大きな変化が訪れるかもしれない。
余談だが、M250系は2005年鉄道友の会ブルーリボン賞に輝いた。これにより、JRグループ全社は同賞を受賞したことになる(ただし、JR北海道は、国鉄末期にキハ80系を改造したキハ83・84形『フラノエクスプレス』が受賞しており、自社設計車で同賞を獲得したことはない)。ちなみに、私は定期運行時代の快速〈ムーンライトながら〉大垣行きでM250系を見たことがある。
◆復興を前面に掲げて
M250系の左側はマジシャンがトランプマジックを行ない、子供たちは食い入るように見つめている。それを見届けると、少し先に「SUPER UR」という白いコンテナを展示していた。このコンテナは冷機循環ファンを装備しているという。中を拝見すると、確かに冷機循環ファンがあり、ステンレス板で冷却効果を高めている。ちなみに、通常のコンテナは夏の湿度対策で防板を使用している。
その隣は通常のコンテナで、左側が鉄道貨物のPR映像を流し、右側が「たちあがろう東北」のヘッドマークを展示。ここから先は“復興祈念色”が強くなる。
隣の2車体連接電気機関車、EH500-25はヘッドマークと側面ステッカーの掲出を行なった。1号車は両方とも「みんなと一緒に!―がんばろう! 東北(ヘッドマークは大宮車両所特製)」、2号車のヘッドマークは「がんばろう東北 がんばろう日本(大宮車両所特製)」、側面ステッカーは「がんばろう! 福島」だ。東日本大震災後、JR東日本(新幹線とEF510形500番代)、東武鉄道(100系、200系、250系)は復興祈念ステッカーを掲出。前者は現在も続いているが、後者は100系第9編成と250系以外は、予定通り掲出を終了している。
その向かい側には、Nゲージがあり、N700系8両車、E5系、南武線205系(先頭車のみ205系1200番代)、南武線209系、臨時快速〈ムーンライト九州〉、185系200番代、EF66形JR貨物初期の塗装変更車による貨物列車、EF510形+EH200形重連貨物列車などが縦横無尽に走り回っている。まさに“夢の球宴”といったところだ。
EF64形1000番代は、北側が大宮車両所特製の〈絆〉、南側が寝台特急〈あけぼの〉をそれぞれ掲出。EF64形1000番代貨物色の寝台特急〈あけぼの〉は、定番となっている。
どんどん前へ進み、DE10形1020号機が検査中で、“顔”を外して、“脳みそ”を公開。この光景を初めて見たときは衝撃を受けたが、今は見慣れてきた。このディーゼル機関車はまだまだ活躍を続け、「国鉄」という時代があったことを子供たちに伝えているかのようだ。
HOゲージでは、EF66形オリジナルカラー牽引の貨物列車と、蒸気機関車牽引の旅客列車が走行。前者はのちにEF66形100番代に交代したが、後者は力強い走りの音が聞こえてくるハイテク品だ。
その奥ではEF65形1070号機がHOゲージを温かく見守っていた。
◆今年は蒸気機関車2両を展示
再び大宮総合車両センターゾーンへ。車両展示広場は、ちょうどEF60形510号機の北寄りヘッドマークを寝台特急〈はやぶさ〉の新品から、年季が入った国鉄時代に製作したものに変えている最中だった。サビや傷が多く、“過酷な仕事”であったことを物語る。今は東北新幹線E5系最速列車の愛称として再び鉄路に蘇ったが、“現代の〈はやぶさ〉”に慣れてきたレールファンも多いと思う。南寄りは寝台特急〈あさかぜ〉が新調のヘッドマークで蘇った。機関車だけなら、いつでも運転再開できそうな気がするが、今は“「機関車」という名の相棒”がいないと動けない客車が“時代遅れ”となってしまっている。
EF65形535号機は、「ゴサゴ」と呼ばれる電気機関車で、昨年開催時は大宮総合車両センター付近で永久保存を訴える署名活動が行なわれた。それが天に通じたのか、今年も展示している。北寄りはヘッドマーク未掲出だったが、南寄りは寝台特急〈あかつき〉が蘇った。
EF65形535号機の北寄りはヘッドマークを掲出していたらしい。これは大宮総合車両センター特製2つのヘッドマークで、いずれも夜行列車をイメージしている。
〈輝望〉に描かれている松は岩手県陸前高田市にある高田松原を舞台している。現地は東日本大震災前に一本松は約7万本あったが、大津波に流され、たった1本だけが奇跡的に突然襲われた苦痛に耐えた。凛と立つ、たった1本の松の木は、人々に希望と勇気を与えたという。ヘッドマークは復興の願いを込め、三日月と星を添え、寝台特急ふうに仕上げた。
〈祈り〉は平和を願う象徴といえる折鶴、宮城県仙台市の広瀬川、同県石巻市の北上川などで行なわれた灯篭流しを描き、犠牲者の方々への鎮魂の意味を込めて制作したという。
被災地完全復興の暁には、ぜひ寝台特急〈輝望〉〈祈り〉〈絆〉の運行を願いたい。
EF81形81号機は車体側面に流れ星を入れた寝台特急〈北斗星〉用で、貨物列車も牽引していた。北寄りは常磐線経由のブルートレイン、寝台特急〈ゆうづる〉を掲出。同線は東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故も重なり、現在も広野―亘理間が不通となっている。寝台特急〈ゆうづる〉のヘッドマーク掲出は、意義を感じ取ることができる。ちなみに、南寄りは寝台特急〈あけぼの〉で、“上野発青森行き最後の夜行列車”として、以前よりも存在感が高まっている。
さて、時刻は13時50分を過ぎ、EF81形81号機の隣に253系1000番代が通過。今年の試乗会は253系1000番代が選ばれ、ヘッドマークと方向LEDを臨時特急〈はちおうじ日光〉にセットし、座席は向かい合わせにしている。
EF510形500番代は、2両展示しており、“ブルートレインカラー”の501号機の北寄りは臨時寝台特急〈エルム〉、南寄りは寝台特急〈北斗星〉をそれぞれ掲出。前者は運行を再開する可能性が「ない」と言ってもよさそうだ。後者は“現職”のヘッドマークを掲出しているが、北海道新幹線開業後も引き続き運行するかどうかが気になる。
510号機の北寄りは『夢空間』を掲出。今や“なつかしの列車”に変わっているが、「EF510形牽引の『夢空間』を見たかった」と思うレールファンも多いのではないだろうか。南寄りは“現職”の寝台特急〈カシオペア〉のヘッドマークを掲出していた。
今回は真岡鐵道のC11形325号機、秩父鉄道のC58形363号機が駆けつけた。いずれも検査のため、大宮総合車両センターに入場しているのだが、5か月遅れたぶん、JR貨物の車両を含め、昨年よりも展示車両が充実した。
そのあと、隣の東北本線に185系200番代の回送が通過し、7~14号車が湘南色というサプライズがあった。また、この日はJR東日本最後の113系が津田沼をたち、両国、新宿経由で大宮を通っている。昼過ぎに大宮で撮影したあと、このイベントに駆けつけたレールファンも多いだろう。
◆まさかのサプライズ
車両展示広場を離れると、E995系『スマート電池くん』を展示していた。この車両は2003年に「キヤE991形」として誕生。ハイブリッドシステムを採用した。これはキハE200形で実用化され、さらにジョイフルトレイン用のHB-E-300系に発展した(「キハ」から「HB」に変わった)。

現在は電車に変身し、電化区間をパンタグラフ集電で走り、非電化区間を蓄電池で走るものである。充電は停車中にパンタグラフ集電で行なうが、走行中も可能で、“未来の電車”である。
撮影後、ある男性が声をかけてきた。それは先日38歳の誕生日を迎えたTOMOさんだ。彼と会うのは2010年4月30日(金曜日)以来5回目である。
「あれっ? 病院じゃなかったんですか?」
「それは午前中」
TOMOさんは先月から通院生活を過ごしているらしい。通院治療後、新秋津で最後の203系配給回送を撮影し、ここに乗り込んだという。
しばらく立ち話で鉄道談義。私は『スマート電池くん』の必要性を語る。私は気動車や蒸気機関車に、それなりの魅力があるのはわかっているけども、いずれも「エコ」にならず、地球環境に貢献しないため、将来は不要にしなければならないと思っている。しかし、東日本大震災と同時に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故で、節電を余儀なくされ、この夏は電力使用制限令が発令された。この非常事態に火力発電所がフル稼働する展開となったが、二酸化炭素を排出するため、“エコ”にならない欠点がある。
今後、電気自動車や架線レス電車の時代に入ると、発電所を増設しなければならない問題が訪れることが予想できる。そして、将来は石油がなくなる問題が発生する。私とTOMOさんも2011年3月11日(金曜日)14時45分まで、電気を甘く見ていた。電気は無限だという認識を持っていた。実際、節電の呼びかけと共に輪番停電(計画停電)が始まり、駅を見ると、“今までこんなに照明を使っていたのか”と、電力使用量の多さに驚いた。これがきっかけで、家庭等にLED電球が急速に普及しつつあるようだ。
一方、TOMOさんは“休日ダイヤ”をひと足に公開し、流鉄車両の甲種輸送撮影から日本鉄道保存協会の総会出席まで、縦横無尽に動き回っている濃密なスケジュールぶりに脱帽だ。


10分ほど“ボーイズトーク”をして別れ、トラバーサー付近にある建物へ入り、車掌体験コーナーは武蔵野線205系を使用。方向幕は普段表示することがない「武蔵野線」を掲出する大サービス。付近ではブルートレインの方向幕コーナーがあり、懐かしの愛称や行先が表示し、縦横無尽に駆け抜けた時代が蘇ってくる。


大宮駅へ戻ると、ちょうどDE10形1099号機がE5系のボディーカラーに、寝台特急〈はやぶさ〉の象徴的なヘッドマークの鳥(ハヤブサ)を入れた新旧融合の特製ヘッドマークを北寄りに掲出(南寄りは寝台特急〈あけぼの〉)し、253系1000番代に連結。同機は双頭連結器を装備したユーティリティープレーヤーで、パンタグラフを下ろした253系1000番代を駅構内留置線までの“案内役”となった。そのあとは253系1000番代が再びパンタグラフを上げて、自走して大宮総合車両センター東大宮センターに“帰宅”したものと思われる。
★備考
①JRおおみや鉄道ふれあいフェア2009~2011 THE MOVIE
②元京浜東北線209系の転用改造は、まだ続いている模様です(先日、尾久車両センターで6両の留置していたため)。
③TOMOさんのTwitter
★おまけ
※この電車は253系200番代です。
現在は電車に変身し、電化区間をパンタグラフ集電で走り、非電化区間を蓄電池で走るものである。充電は停車中にパンタグラフ集電で行なうが、走行中も可能で、“未来の電車”である。
撮影後、ある男性が声をかけてきた。それは先日38歳の誕生日を迎えたTOMOさんだ。彼と会うのは2010年4月30日(金曜日)以来5回目である。
「あれっ? 病院じゃなかったんですか?」
「それは午前中」
TOMOさんは先月から通院生活を過ごしているらしい。通院治療後、新秋津で最後の203系配給回送を撮影し、ここに乗り込んだという。
しばらく立ち話で鉄道談義。私は『スマート電池くん』の必要性を語る。私は気動車や蒸気機関車に、それなりの魅力があるのはわかっているけども、いずれも「エコ」にならず、地球環境に貢献しないため、将来は不要にしなければならないと思っている。しかし、東日本大震災と同時に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故で、節電を余儀なくされ、この夏は電力使用制限令が発令された。この非常事態に火力発電所がフル稼働する展開となったが、二酸化炭素を排出するため、“エコ”にならない欠点がある。
今後、電気自動車や架線レス電車の時代に入ると、発電所を増設しなければならない問題が訪れることが予想できる。そして、将来は石油がなくなる問題が発生する。私とTOMOさんも2011年3月11日(金曜日)14時45分まで、電気を甘く見ていた。電気は無限だという認識を持っていた。実際、節電の呼びかけと共に輪番停電(計画停電)が始まり、駅を見ると、“今までこんなに照明を使っていたのか”と、電力使用量の多さに驚いた。これがきっかけで、家庭等にLED電球が急速に普及しつつあるようだ。
一方、TOMOさんは“休日ダイヤ”をひと足に公開し、流鉄車両の甲種輸送撮影から日本鉄道保存協会の総会出席まで、縦横無尽に動き回っている濃密なスケジュールぶりに脱帽だ。
10分ほど“ボーイズトーク”をして別れ、トラバーサー付近にある建物へ入り、車掌体験コーナーは武蔵野線205系を使用。方向幕は普段表示することがない「武蔵野線」を掲出する大サービス。付近ではブルートレインの方向幕コーナーがあり、懐かしの愛称や行先が表示し、縦横無尽に駆け抜けた時代が蘇ってくる。
大宮駅へ戻ると、ちょうどDE10形1099号機がE5系のボディーカラーに、寝台特急〈はやぶさ〉の象徴的なヘッドマークの鳥(ハヤブサ)を入れた新旧融合の特製ヘッドマークを北寄りに掲出(南寄りは寝台特急〈あけぼの〉)し、253系1000番代に連結。同機は双頭連結器を装備したユーティリティープレーヤーで、パンタグラフを下ろした253系1000番代を駅構内留置線までの“案内役”となった。そのあとは253系1000番代が再びパンタグラフを上げて、自走して大宮総合車両センター東大宮センターに“帰宅”したものと思われる。
★備考
①JRおおみや鉄道ふれあいフェア2009~2011 THE MOVIE
②元京浜東北線209系の転用改造は、まだ続いている模様です(先日、尾久車両センターで6両の留置していたため)。
③TOMOさんのTwitter
★おまけ
※この電車は253系200番代です。
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