自殺

「命(Nuchi)どぅ宝」 

この言葉を御存知だろうか? 

これは琉球の言葉で、“今、生きている命を大切にしなさい”という意味である。私はこの言葉を重く受け止めているし、命の尊さもわかっているつもりだ。 

命の尊さを知るきっかけとなったのは、昭和59年(1984年)秋、私のクラスメートの男子が病死したからである。  

朝、教室に入ると、彼の机には過敏に花が数本立っており、“なにかあったのかな?”と疑問を感じていた。そして、担任の教師が前夜に亡くなったことを告げると、みな、無言。言葉が出なかった。  

あくる日、ほかのクラスは午前中で授業を切り上げ、私のクラスと教師陣は葬儀へ参列することになった。私が初めて参列した葬儀で、同い年のクラスメートになるとは想像すらしていなかった。天候は晴天で、足取りは重い。  

彼の変わり果てた姿と面会することはなかったが、遺影のモノクロ写真が悲しみを深くさせる。大人たちは焼香をあげているが、当時は子供だったせいか、我々はただじっとしているだけ。クラスを代表して、別の男子が最後のあいさつをした以外、みんなうつむきっぱなしだった。  

葬儀が終わり、小学校へ戻る。ローカル線の踏切を渡った時、天候が曇っていることに気づいた。あの日のことは一生忘れることはない。私の人生において、初めて、世の中の残酷さを味わったのだから。  

あれから20年、生きている時間よりも、あの世にいる時間のほうが、はるかに長くなった。時が進むのは早いものである。  

余談だが、2001年に『ちゅらさん総集編』を初めて見た時、上村文也の兄、和也が中学1年生という若さで、病気のため、小浜島で亡くなるシーンを見て、あの時のことが頭をよぎった。  

前置きが長くなったが、ここ数年、毎年3萬人以上が自殺で人生の幕切れをしている。深刻な社会問題で、一時は国民の平均寿命を下げてしまうほどだ。  

原因の大半はリストラにより、次の職場が見つからないことによる精神的苦痛(「ノイローゼ」と言うのだろう)。「リストラ」は10年以上も前から大人たちを襲わせている“病気”で、特効薬がないところをみると、“不治の病”と言わざるをえない。  

“リストラ自殺”の以前は中学生がイジメを苦による自殺が相次いでいた。平成6年(1994年)のことで、大半の学校は「イジメの事実を知らなかった」と答えた。無責任にも思える回答で、批判が多かったような記憶がある。この頃から学校教育も荒廃の道をゆくばかりで、キレる生徒、未成年の凶悪犯罪者増加。大人になれば“荒れる成人式”になるなど、日本はどんどんどんどんダメになってゆく。  

なぜ、イジメを苦に自殺という道を選択しなければならないのだろう? これではイジメている側の思うツボで、負け犬ではないか。

「闘争心を出せ!! 負けず嫌いになれ!! やられたら、やり返せ!!」  

と私は言いたい。度を越えない限り、イジメているやつを殴ったり、蹴ったりするのは悪いことではないはずだ。しかし、教師やPTAなどはあっさり暴力と受け止める姿勢は疑問で、なんでもかんでも話し合いによる解決に導こうとしているのは、私には理解できない。  

実は私自身、命の尊さをわかっているにもかかわらず、自殺を考えたことがある。  

それは平成11年(1999年)、仕事が見つからない日々が続いていた。原稿を出版社に持ち込んでも、使ってくれないし、生活資金を確保するため、フリーライターとは無縁の仕事を探しても、雇ってくれない。はっきり言えば、雇ってくれない側にも問題がある。「わざわざ来てやったのに、なんで雇わないんだ!!」と怒りをあらわにしたいことも何度かあったが、いつしか疲れに変わる。そして、仕事を探す気力もなくなる。1人暮らしで、伴侶(Hanryo)がいないゆえ、支えもいない。心身はボロボロだった。  

自殺するにせよ、どうすればいいのか、わからない。電車に飛び込めば、遺族に多額の賠償金が請求されることも知っているから、できない。また、高所恐怖症なので、ビルの屋上からも飛び下りられない。更に首を吊ろうとしても、吊る場所がない。  

自殺をしなかった最大の理由は周囲に気づかれてしまったことである。その後、期間限定ながら、3か月の仕事が決まったのはいいが、終わると、失業者に戻り、仕事も見つからない日々が続いた。夜も眠れず、気がついたら朝になっていた。生活のリズムも狂い、朝寝て昼起きることもあった。  

それを矯正すべく、街へ行くまではよかったが、東西線という地下鉄に乗ったら、中野-西船橋間を1往復熟睡し、気がついたら駅の係員に起こされ、都内の図書館に立ち寄れば、読書中に居眠りをして、職員に起こされるなど、邪魔者扱いされ(当時はそういうふうにしか思えなかった)、生きてゆくことに自信がなくなり、“これから先、必要としてくれることはあるのだろうか?”と考えると、つらくなった。  

この頃、池袋と下関で、無職の男がムシャクシャしていることを理由に通り魔事件を起こし、いずれも殺人容疑で逮捕されたが、正直言って、ウサを晴らせる人がうらやましかった。もちろん、犯罪とわかっているから、やらなかった。なぜならば、犯罪をやってしまえば、私を支えた方々を裏切ることにもなるからだ。  

私には相談できる相手はいる。しかし、場所は遠いし、自分の実情を知られたくない思いから、閉じこもりっぱなしのまま、秋を迎え、やっとの思いで雇われたが、順風満帆に生きている人には、たぶん私の苦しみはわからないだろう。  

そのおかげで、どうにか生きているが、いつリストラされるかわからないし、このまま安住するつもりもなく、プロのフリーライターとして、一生を過ごすつもりでいる。未知の世界で年収はどれだけなのか、はっきり言ってわからないが、皆様の御支援や私自身が失態をおかさなければ、まだ所帯は持ってないけど、妻子を養っていけるだけの稼ぎができるのではないかと思う。

ある番組でみたが、自殺をするぐらいなら、自己破産をしたほうがはるかにいいという。費用は3萬近くかかるが、自殺をすると、デメリットが多く、住んでいたアパートなどは遺族に家賃を請求することもあるという。自己破産なら、ブラックリストにのり、クレジットカードが10年間、新規作成できないことぐらいで済む。  

自殺を考えたことのある私が言う権利や資格はないかもしれないが、世の中には生きたくても生きられない人々が沢山いる。長生きしたくても、できない人々も沢山いるのだ。健康でいられる私たちは、しあわせであると共に、そういう人々の分まで、長く生きなければならない使命があるのではないか。また、喫煙は長い時間をかけて、自殺行為に走っているようなもの。近年は女性喫煙者の増加、患者の命を預かる医療関係者も煙草をふかしていると聞く。医療ミスの多い現代、このような医者が多いと、患者側にとっては安心して治療できないだろう。

「生きてるって、楽しいさぁー」  

これは『ちゅらさん2』最終回のラストシーンで、“えりぃー”が言っていた言葉だ。世界中のすべての人々が心から、そのセリフが言えるような環境をみんなで作り合い、自殺のない世の中を目指してゆきたいものである。 

★備考  

今回の記事は2004年5月に執筆したものです。

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この記事へのコメント

2009年08月09日 18:07
非常に示唆に富んだ文章と感じました。
とてもnice!です。
2009年08月10日 00:04
ねじまきけんいちさん、どうもありがとうございます。

年間の自殺者がなくならない傾向にありますので、そういう世の中であってほしいものです。

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