2008年の汽車旅6-6(JR西日本完全制覇達成!!)
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・2008年の汽車旅6-1
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-15
・2008年の汽車旅6-2(急行〈つやま〉フォーエヴァー)
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-17
・2008年の汽車旅6-3(JR西日本完全制覇に王手!!)
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-20
・2008年の汽車旅6-4
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-22
・2008年の汽車旅6-5
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-25
◆車掌が特別に乗務
11時19分に発車すると、すぐさま山陰本線と別れ、早くも勾配を登ってゆく。カーブで勾配のキツさをやわらげている状態で、南宍道に到着。発車すると、金山峠を境に下り坂をゆく。クネクネとアップダウンの激しい道をゆき、開けた町並みが現れると、加茂中(Kamonaka)へ。ここから先は平地となり、快適に進んでゆく。
車内の乗務員は運転士、車掌、木次鉄道部係長の3人。本来はワンマンカーだが、この日は特別に車掌が終点備後落合まで乗務する。
出雲大東を発車すると、下り坂のオンパレード。軽やかに駆け抜けてゆく。
木次に近づく頃、車掌は犬入りカバンの女性客をエスコートし、出口へお連れするサービス。女性客はスーツケースを持っており、海外へ行っていた模様。
「あらー、かわいいー」
と見知らぬ女性客から声がかかる。
11時53分、木次2番のりばに到着。1番のりばでは普通列車宍道行きワンマンカーが発車を待っている。
さて、ここには神様、素戔嗚尊(Susanoh-no-mikoto)を紹介する案内板があった。ここから先も神にまつわる歴史を紹介する駅があった。さすがは神話の国、島根県。もし、2000年に当時の総理大臣であった森嘉郎が島根県を「神の国」と言ったらよかったんだろうけど、日本全体はそんな国ではない。今や世界中は経済不況により、「神も仏もない国」と化してしまうところが多いように思う。
※次は日登
Next Hinobori.
運転士は若手からベテランに代わり、車内は全員着席できるほどに減り、11時55分に発車。雲ゆきが少々あやしくなり、暖房がかかる。
日登(Hinobori)を発車すると、一転して登り坂へ。運転士は40㎞/h程度で慎重に進んでゆく。やがて、スピードは30㎞/h程度に落ちてしまう。
トンネルを抜けると、残雪。前日の因美線と同じような展開になる。
下久野(Shimokuno)に到着すると、外気は冷たい。この時期に臨時普通列車〈奥出雲おろち号〉が運行されないのもわかる。
下久野を発車し、長いトンネルへ。40㎞/hにも満たないスピードだが、抜ければ雪国になることが予想されるだけに胸を膨らませるものの、残念ながら残雪のままだった。
「ざんねぇーん!!」
侍JAPANじゃなかった、ギター侍、波田陽区の声が聞こえてきそうだ。ギター侍にはあと1つ、おなじみのフレーズがあるけど、ローカル線と不況の御時勢には禁句なので、やめとこ。
出雲八代(Izumo-Yashiro)を発車すると、天候が回復。列車はトンネルを抜けると、下り坂をゆき、亀嵩(Kamedake)を発車すると、今度は登り坂。ちなみに亀嵩では男性客2人がそばを受け取っていた。
さて、残雪の量が多くなり、下り坂を駆け抜け、12時46分、出雲横田2番のりばに到着。ここで10分停車。方向幕では「備後落合」と表示されているが、うしろの回送はここで切り離して、普通列車宍道行きワンマンカーとなる。
出雲横田はまるで出雲大社を彷彿させる駅舎が印象に残り、出雲横田発着便が多いせいか、木次鉄道部の乗務員休泊所がある。そして、面白いことに駅舎側は2番のりば、反対側は1番のりばである。ちなみに駅のホームは駅長室のある側が「1番線」というのが一般的である。
出雲横田には奇稲田姫(Kushi-inadahime)の紹介があり、この駅の近くに稲田神社があり、このあたりで出生したという。父神が脚摩乳(Ashinaduchi)、母神は手摩乳(Tenaduchi)である。
ある日、素戔嗚尊があるヤツをやっつけ、奇稲田姫の命を救った。それは誰なのか? 野比のび太に答えてもらおう。
「山田のおろち」
隣りで聞いていたドラえもんは“またか”と頭を抱えた。
正解は八岐大蛇(Yamatano-orochi)。そいつをやっつけ、晴れて夫婦になったのである。
12時56分、運転再開。雪国が近づいてきたような車窓だが、八川から先は次の駅までの所要時間が長く、平均12.25分で、最高速度も65㎞/hに抑えられている。
※3つとも次は出雲坂根
30㎞/hにも満たない速度でトロトロ進み、運転士はチラッと横を眺めて、残雪景色を眺めている。そうこうするうちに車窓は残雪ではなく、雪景色に“格上げ”され、一部の窓は曇り始めた。
◆JR西日本完全制覇達成!!
13時16分、出雲坂根1番のりばに到着。ここで3分停車し、ホームの宍道寄りには延命の水があるという。車掌の案内により、延命の水へ向かう利用客が多かった。みんな、長生きしたいし、早死にしたくもない。
信楽焼の狸が歓迎し、延命の水を飲む。ミネラルウォーターとは違った味わいがあり、できることなら空のペットボトルを持参すればよかったが、停車時間は3分なので、ひとくち飲むしかない。また、列車利用客以外の水汲みは御遠慮願っている。
冬は暖かく、夏には冷たい延命の水は湧き水で、この地に鉄道ができるまでは「清水堀」と呼ばれた湿田だった。そのはるか昔は狐や狸が多く、この水を飲んで寿命100年を越えた狸が多く、やがて、人も「長寿の冷水」と呼び、愛飲開始。のちに「延命の水」という名がつけられた。
毎日、延命の水を飲み続けると、きっと長生きするものと信じている。うまくいけば、1000年後の世界を見ることができるのかもしれない。私は死んでしまったら、アメリカで行なわれている冷凍保存を望んでおり、蘇生に成功すれば、“2度目のこの世”を見ることができるのだが、費用が葬式の6倍ほどかかるという(一般的な葬式は200萬、冷凍保存は1200萬だとか)。
車内に戻ろうとすると、車両の宍道寄りにヘッドライトが点灯。レールファンへのサービスかと思ったら、13時19分に発車すると、なんと進行方向とは逆向きに発車。運転士は3分の停車中に移動していたのである。
出雲坂根は標高564メートルの駅で、次の三井野原までの駅間距離は6.4キロあり、標高は731メートルである。つまり、167メートル高いところに三井野原があり、かなりの急勾配である。純粋に登ってもいいのだが、木次線はスイッチバックで急勾配のキツさを緩和。しかも、スイッチバックは2か所ある。これが世に有名な「3段式スイッチバック」なのである。
13時21分、列車は止まり、運転士は再び、元の位置へ。3段式スイッチバックに興味津々のレールファンは坐ってなんかいられない。そして、13時23分、進行方向を元に戻し、再び発車。雪によるポイント故障を防ぐため、シェルターを通過したあと、左へ曲がり、登り坂を慎重にゆっくりと進む。進行方向右側には出雲坂根を見下ろすことができる。車掌によると、列車は赤い橋のところまで、時計まわりに進むという。
いよいよ、赤い橋が見えた。その正体は国道314号線で、あの有名な奥出雲おろちループなのである。列車は標高718メートル地点まで登ってゆき、国道314号線奥出雲おろちループ鑑賞のためか、徐行運転をする。
国道314号線奥出雲おろちループは半径100・200メートルのの2重ループ道路で、区間標高差が105メートル、区間長は2360メートルである。 ループにすることによって、勾配のキツさを緩和し、スピードの出し過ぎを防いでいるが、昭和53年(1978年)に計画され、昭和57年(1982年)から工事を開始。平成4年(1992年)4月に開幕しているが、当時は観光客が多かったという。ちなみにこの日は交通量が少なかった。
これにより、木次線は苦境に立たされているが、平成10年(1998年)4月25日(土曜日)、国道314号線奥出雲おろちループの観覧を目的とした臨時快速〈奥出雲おろち号〉が誕生(現在は普通列車に格下げ)。12系客車を種者に1両をトロッコ車に改造。3段式スイッチバックのため、トロッコ車には運転台を設置したが、運転区間は木次-備後落合間が基本である。さいわい、乗車率がいいものの、木次線は本数が少ないのだから、1両増結すれば自由席として、沿線の利用客にも気軽に乗れるようにすればいいように思う。
国道314号線奥出雲おろちループを過ぎると、スピードはあがり、分水嶺を通過すると、13時35分、やっと三井野原に到着。停車時間はわずか30秒で、13時36分に発車。島根県から広島県に入り、山陰から山陽に変わってゆく。この日、「車掌が特別に乗務しております」と言ったのもわかる。冬の季節だと臨時普通列車〈奥出雲おろち号〉が運行できないため、ガイドを兼ねていたのだ。そのあと、県境を越えたことをアピールするかのような車内検札。県境になると車掌が車内検札を行うパターンはあるのだが、8割以上は青春18きっぷ利用客で、シーズンオフであれば、10人乗っているかどうか?
油木(Yuki)を発車すると、次は終点備後落合。ついにJR西日本完全制覇に向けて、雪道を進んでゆく。
下り坂などカーブが多く、50㎞/hも出ない。途中、遮断棒や警報機のない踏切に遭遇するが、雪に埋もれては「止まれ」の標識に気づかない限り、わからないのではないだろうか。
広島県に入ったことを示すかのように、天気はP-KAN。最後のトンネルを抜けると、進行方向右側から芸備線に合流。普通列車備後落合行きワンマンカーを追い抜いた。
普通列車同士の追い抜き劇のあと、刻一刻とゴールが近づき、13時56分、終点備後落合1番のりばに到着。木次線全線完乗と共にJR西日本完全制覇を達成した。但し、おおさか東線が全通すればリセットされるが、すぐに取り戻せるだろう。
少々遅れて2番のりばに芸備線の普通列車が終点備後落合に滑り込み、3番のりばは普通列車新見行きワンマンカーが発車を待っており、ローカル線の要衝はキハ120系シリーズでホームはすべて埋まったのである(3つとも、たった1両だが…)。
★備考
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◆世界の国旗クイズ第15問
『世界の国旗クイズ』はホンモノの世界の国旗が出ることはよほどのことがない限り、まったくありません。鉄道車両を国旗に見立てたもので、それを皆様に当てていただくものです。
第15問はこちらです。これはどこの“国旗”なのでしょうか?
さぁー、みんなで考えよう!!
ヒントは赤のボディーカラーを見て、なにを思い浮かべますか? そして、2007年の流行語は覚えておりますでしょうか? また、「手の用心」という言葉を知っていますか? さらに2008年秋、Railway Blogに掲載しておりますので、おのずとわかりますよ。
答えは観客動員数110萬人突破時に発表する予定ですので、ドシドシお寄せ下さい。コメントの際、御解答いただければ、さいわいです(何度も言っておりますが、次に進めません。ヤマカンで解答してくださいね)。
なお、原則として、1人でも参加していただかない限り、正解は発表しませんので、御了承下さい。
★お知らせ
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・2008年の汽車旅6-1
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◆車掌が特別に乗務
11時19分に発車すると、すぐさま山陰本線と別れ、早くも勾配を登ってゆく。カーブで勾配のキツさをやわらげている状態で、南宍道に到着。発車すると、金山峠を境に下り坂をゆく。クネクネとアップダウンの激しい道をゆき、開けた町並みが現れると、加茂中(Kamonaka)へ。ここから先は平地となり、快適に進んでゆく。
普通列車備後落合行きワンマンカー編成表 | |||||
乗車区間 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
備後落合 | なし | キハ120 | 5 | ○ | ロングシート |
宍道 | なし | キハ120- | 207 | ○ | セミクロスシート、回送 |
回送は宍道-出雲横田間連結 |
車内の乗務員は運転士、車掌、木次鉄道部係長の3人。本来はワンマンカーだが、この日は特別に車掌が終点備後落合まで乗務する。
出雲大東を発車すると、下り坂のオンパレード。軽やかに駆け抜けてゆく。
木次に近づく頃、車掌は犬入りカバンの女性客をエスコートし、出口へお連れするサービス。女性客はスーツケースを持っており、海外へ行っていた模様。
「あらー、かわいいー」
と見知らぬ女性客から声がかかる。
11時53分、木次2番のりばに到着。1番のりばでは普通列車宍道行きワンマンカーが発車を待っている。
さて、ここには神様、素戔嗚尊(Susanoh-no-mikoto)を紹介する案内板があった。ここから先も神にまつわる歴史を紹介する駅があった。さすがは神話の国、島根県。もし、2000年に当時の総理大臣であった森嘉郎が島根県を「神の国」と言ったらよかったんだろうけど、日本全体はそんな国ではない。今や世界中は経済不況により、「神も仏もない国」と化してしまうところが多いように思う。
※次は日登
Next Hinobori.
運転士は若手からベテランに代わり、車内は全員着席できるほどに減り、11時55分に発車。雲ゆきが少々あやしくなり、暖房がかかる。
日登(Hinobori)を発車すると、一転して登り坂へ。運転士は40㎞/h程度で慎重に進んでゆく。やがて、スピードは30㎞/h程度に落ちてしまう。
トンネルを抜けると、残雪。前日の因美線と同じような展開になる。
下久野(Shimokuno)に到着すると、外気は冷たい。この時期に臨時普通列車〈奥出雲おろち号〉が運行されないのもわかる。
下久野を発車し、長いトンネルへ。40㎞/hにも満たないスピードだが、抜ければ雪国になることが予想されるだけに胸を膨らませるものの、残念ながら残雪のままだった。
「ざんねぇーん!!」
侍JAPANじゃなかった、ギター侍、波田陽区の声が聞こえてきそうだ。ギター侍にはあと1つ、おなじみのフレーズがあるけど、ローカル線と不況の御時勢には禁句なので、やめとこ。
出雲八代(Izumo-Yashiro)を発車すると、天候が回復。列車はトンネルを抜けると、下り坂をゆき、亀嵩(Kamedake)を発車すると、今度は登り坂。ちなみに亀嵩では男性客2人がそばを受け取っていた。
さて、残雪の量が多くなり、下り坂を駆け抜け、12時46分、出雲横田2番のりばに到着。ここで10分停車。方向幕では「備後落合」と表示されているが、うしろの回送はここで切り離して、普通列車宍道行きワンマンカーとなる。
出雲横田はまるで出雲大社を彷彿させる駅舎が印象に残り、出雲横田発着便が多いせいか、木次鉄道部の乗務員休泊所がある。そして、面白いことに駅舎側は2番のりば、反対側は1番のりばである。ちなみに駅のホームは駅長室のある側が「1番線」というのが一般的である。
出雲横田には奇稲田姫(Kushi-inadahime)の紹介があり、この駅の近くに稲田神社があり、このあたりで出生したという。父神が脚摩乳(Ashinaduchi)、母神は手摩乳(Tenaduchi)である。
ある日、素戔嗚尊があるヤツをやっつけ、奇稲田姫の命を救った。それは誰なのか? 野比のび太に答えてもらおう。
「山田のおろち」
隣りで聞いていたドラえもんは“またか”と頭を抱えた。
正解は八岐大蛇(Yamatano-orochi)。そいつをやっつけ、晴れて夫婦になったのである。
12時56分、運転再開。雪国が近づいてきたような車窓だが、八川から先は次の駅までの所要時間が長く、平均12.25分で、最高速度も65㎞/hに抑えられている。
※3つとも次は出雲坂根
30㎞/hにも満たない速度でトロトロ進み、運転士はチラッと横を眺めて、残雪景色を眺めている。そうこうするうちに車窓は残雪ではなく、雪景色に“格上げ”され、一部の窓は曇り始めた。
◆JR西日本完全制覇達成!!
13時16分、出雲坂根1番のりばに到着。ここで3分停車し、ホームの宍道寄りには延命の水があるという。車掌の案内により、延命の水へ向かう利用客が多かった。みんな、長生きしたいし、早死にしたくもない。
信楽焼の狸が歓迎し、延命の水を飲む。ミネラルウォーターとは違った味わいがあり、できることなら空のペットボトルを持参すればよかったが、停車時間は3分なので、ひとくち飲むしかない。また、列車利用客以外の水汲みは御遠慮願っている。
冬は暖かく、夏には冷たい延命の水は湧き水で、この地に鉄道ができるまでは「清水堀」と呼ばれた湿田だった。そのはるか昔は狐や狸が多く、この水を飲んで寿命100年を越えた狸が多く、やがて、人も「長寿の冷水」と呼び、愛飲開始。のちに「延命の水」という名がつけられた。
毎日、延命の水を飲み続けると、きっと長生きするものと信じている。うまくいけば、1000年後の世界を見ることができるのかもしれない。私は死んでしまったら、アメリカで行なわれている冷凍保存を望んでおり、蘇生に成功すれば、“2度目のこの世”を見ることができるのだが、費用が葬式の6倍ほどかかるという(一般的な葬式は200萬、冷凍保存は1200萬だとか)。
車内に戻ろうとすると、車両の宍道寄りにヘッドライトが点灯。レールファンへのサービスかと思ったら、13時19分に発車すると、なんと進行方向とは逆向きに発車。運転士は3分の停車中に移動していたのである。
出雲坂根は標高564メートルの駅で、次の三井野原までの駅間距離は6.4キロあり、標高は731メートルである。つまり、167メートル高いところに三井野原があり、かなりの急勾配である。純粋に登ってもいいのだが、木次線はスイッチバックで急勾配のキツさを緩和。しかも、スイッチバックは2か所ある。これが世に有名な「3段式スイッチバック」なのである。
13時21分、列車は止まり、運転士は再び、元の位置へ。3段式スイッチバックに興味津々のレールファンは坐ってなんかいられない。そして、13時23分、進行方向を元に戻し、再び発車。雪によるポイント故障を防ぐため、シェルターを通過したあと、左へ曲がり、登り坂を慎重にゆっくりと進む。進行方向右側には出雲坂根を見下ろすことができる。車掌によると、列車は赤い橋のところまで、時計まわりに進むという。
いよいよ、赤い橋が見えた。その正体は国道314号線で、あの有名な奥出雲おろちループなのである。列車は標高718メートル地点まで登ってゆき、国道314号線奥出雲おろちループ鑑賞のためか、徐行運転をする。
国道314号線奥出雲おろちループは半径100・200メートルのの2重ループ道路で、区間標高差が105メートル、区間長は2360メートルである。 ループにすることによって、勾配のキツさを緩和し、スピードの出し過ぎを防いでいるが、昭和53年(1978年)に計画され、昭和57年(1982年)から工事を開始。平成4年(1992年)4月に開幕しているが、当時は観光客が多かったという。ちなみにこの日は交通量が少なかった。
これにより、木次線は苦境に立たされているが、平成10年(1998年)4月25日(土曜日)、国道314号線奥出雲おろちループの観覧を目的とした臨時快速〈奥出雲おろち号〉が誕生(現在は普通列車に格下げ)。12系客車を種者に1両をトロッコ車に改造。3段式スイッチバックのため、トロッコ車には運転台を設置したが、運転区間は木次-備後落合間が基本である。さいわい、乗車率がいいものの、木次線は本数が少ないのだから、1両増結すれば自由席として、沿線の利用客にも気軽に乗れるようにすればいいように思う。
国道314号線奥出雲おろちループを過ぎると、スピードはあがり、分水嶺を通過すると、13時35分、やっと三井野原に到着。停車時間はわずか30秒で、13時36分に発車。島根県から広島県に入り、山陰から山陽に変わってゆく。この日、「車掌が特別に乗務しております」と言ったのもわかる。冬の季節だと臨時普通列車〈奥出雲おろち号〉が運行できないため、ガイドを兼ねていたのだ。そのあと、県境を越えたことをアピールするかのような車内検札。県境になると車掌が車内検札を行うパターンはあるのだが、8割以上は青春18きっぷ利用客で、シーズンオフであれば、10人乗っているかどうか?
油木(Yuki)を発車すると、次は終点備後落合。ついにJR西日本完全制覇に向けて、雪道を進んでゆく。
下り坂などカーブが多く、50㎞/hも出ない。途中、遮断棒や警報機のない踏切に遭遇するが、雪に埋もれては「止まれ」の標識に気づかない限り、わからないのではないだろうか。
広島県に入ったことを示すかのように、天気はP-KAN。最後のトンネルを抜けると、進行方向右側から芸備線に合流。普通列車備後落合行きワンマンカーを追い抜いた。
普通列車同士の追い抜き劇のあと、刻一刻とゴールが近づき、13時56分、終点備後落合1番のりばに到着。木次線全線完乗と共にJR西日本完全制覇を達成した。但し、おおさか東線が全通すればリセットされるが、すぐに取り戻せるだろう。
少々遅れて2番のりばに芸備線の普通列車が終点備後落合に滑り込み、3番のりばは普通列車新見行きワンマンカーが発車を待っており、ローカル線の要衝はキハ120系シリーズでホームはすべて埋まったのである(3つとも、たった1両だが…)。
JR旅客鉄道完全制覇日一覧表 | |||
JR会社名 | 完全制覇達成日 | 達成路線名と駅名 | 達成時の年齢 |
JR東海 | 2001年10月6日(土曜日) | 名松線伊勢奥津 | 25歳1か月 |
JR四国 | 2003年8月14日(木曜日) | 高徳線志度 | 26歳11か月 |
JR北海道 | 2005年8月16日(火曜日) | 石勝線夕張 | 28歳11か月 |
JR九州 | 2008年9月1日(月曜日) | 吉都線吉松 | 32歳 |
JR西日本 | 2008年12月29日(月曜日) | 木次線備後落合 | 32歳3か月 |
JR東日本は完全制覇を達成していない |
★備考
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◆世界の国旗クイズ第15問
『世界の国旗クイズ』はホンモノの世界の国旗が出ることはよほどのことがない限り、まったくありません。鉄道車両を国旗に見立てたもので、それを皆様に当てていただくものです。
第15問はこちらです。これはどこの“国旗”なのでしょうか?
さぁー、みんなで考えよう!!
ヒントは赤のボディーカラーを見て、なにを思い浮かべますか? そして、2007年の流行語は覚えておりますでしょうか? また、「手の用心」という言葉を知っていますか? さらに2008年秋、Railway Blogに掲載しておりますので、おのずとわかりますよ。
答えは観客動員数110萬人突破時に発表する予定ですので、ドシドシお寄せ下さい。コメントの際、御解答いただければ、さいわいです(何度も言っておりますが、次に進めません。ヤマカンで解答してくださいね)。
なお、原則として、1人でも参加していただかない限り、正解は発表しませんので、御了承下さい。
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この記事へのコメント
なにはともあれ、がんばってください。
JR東日本の完全制覇はぜひともやりたいですね(機会があれば、3連休パスを使ってみたいですねぇー)。また、日本の鉄道完全制覇も目標ですので、色々なところへ足を踏み入れたいと思っております。