臨時特急〈懐かしのはくたか号〉(団体電車)
2007年9月15日(土曜日)、この日は“元敬老の日”である。
14時45分頃にJR東日本上野13番線へ。この日、真夏日に戻り、地平ホームは蒸し暑い。13~15番線は1本も電車はなく、17番線に15時00分発の特急〈スーパーひたち35号〉いわき行きしか止まっていない。14・15番線はしばらく電車の発車がないのだから、ホームの照明は消灯して、節制に努めるべきではないだろうか。電車は高架ホームに集中しているのだから。
13番線はレールファンが30人以上いるものの、思ったほど多くない。市販の時刻表ではまったく掲載されていない団体電車だからだろうか。
特急〈スーパーひたち35号〉いわき行きが発車すると、地平ホームから電車は消えた。東北新幹線開業前は長距離列車の定番ホームとして、絵になったところだが、今や地平ホームにかつてのにぎわいが消えた。
6分後、17番線にE653系レッドの特急〈フレッシュひたち36号〉が到着。この電車は回送となり、16番線にE653系エメラルドグリーンの特急〈フレッシュひたち37号〉高萩行きが入線。10年たっても“フレッシュ”のまま。もし、E653系をリニューアルすれば特急〈リフレッシュひたち〉にでもなるのだろうか?
さて、13番線に「警戒」の腕章をつけた駅員が続々と現れ、ボルテージがあがり、レールファンの数も増え、蒸し暑さもヒートアップし、15時28分を迎えた。
「まもなく、13番線に、団体列車がまいります」
ついに団体扱いの臨時特急〈懐かしのはくたか号〉が13番線に滑り込んだ。昭和57年(1982年)11月14日(日曜日)以来、25年ぶりに上野へ帰ってきた。あのなつかしい絵入りヘッドマークが鮮烈ではあるものの、先頭車はボンネットだった。489系の先頭車はボンネットだけなのだろうか? 個人的にボンネットはブサイク、古クサイという理由で好まないけど、この日は上野に戻ってきたなつかしの特急を歓迎しよう。
臨時特急〈懐かしのはくたか号〉は9両編成で、1号車は絵入りヘッドマーク、9号車は文字だけのヘッドマークで、この手は2002年9月21・22日(土・日曜日)に運行した583系の臨時特急〈ひばり〉を思い出す。
絵入りヘッドマークは青空で鷹が立ち止まって、羽を大きく広げているのが印象的。意外とシンプルである。
鷹と羽といえば、『あぶない刑事』シリーズで、舘ひろしは“タカ”こと、鷹山敏樹役でおなじみだが、映画『またまたあぶない刑事』とドラマ『もっとあぶない刑事』のエンディングテーマ、『翼を拡げて-OPEN YOUR HEART-』を歌っている。レールファンの中にはその曲を思い出す人も多いのではないだろうか(完全なこじつけ)。
文字だけのヘッドマークはボンネット車両だけあって、よく似合っている。
方向幕はシールで貼りつけたもので、意外にも「特急」の2文字がない。JR西日本産の特急形電車も種別幕は愛称のみとなっているから、意外にも国鉄を継承しているのである。
臨時特急〈懐かしのはくたか号〉編成表 | |||||
運転区間 | 号車 | 車両番号 | 備考 | ||
長岡 | 9 | クハ489- | 1 | 指定席 | |
8 | モハ489- | 6 | 指定席 | ||
7 | モハ488- | 6 | 指定席 | ||
6 | モハ489- | 19 | 指定席 | ||
5 | モハ488- | 204 | 指定席 | ||
4 | サロ489- | 23 | グリーン車 | ||
3 | モハ489- | 4 | 指定席 | ||
2 | モハ488- | 4 | 指定席 | ||
上野 | 金沢 | 1 | クハ489- | 501 | 指定席 |
団体扱いで運行。禁煙車の有無は未調査 |
さて、発車ベルが鳴り、車両基地へ向かう時間となった。
「ホームで走らないよう、お願いしまーす」
と先頭車が混みあい、撮影に手間取り、“RUNNING SHOT”するレールファンがいた。もうちょっと時間が欲しいと思いつつ、ついにタイフォンが高らかな雄たけびをあげる。

15時46分、回送が発車。次の13番線は16時50分発の寝台特急〈北斗星1号〉札幌行きである。この日、寝台特急〈カシオペア〉札幌行きの運行はないのだ。あと10~20分いてもよかったようにも思えるが、次の日にまた会えばいいと思い、上野をあとにした。
翌日(2007年9月16日)、7時58分に上野へ。この日は15番線から発車する。

ホームの行先案内板では「特急 懐かしのはくたか号」と表示。単純に「団体」のみかと思っていただけにイキなはからいだ。そのあと、「団体 8:28 金沢」と表示した。
16番線に651系の特急〈フレッシュひたち8号〉が到着。上野-勝田・高萩間は特急〈フレッシュひたち〉、上野-いわき・仙台間は特急〈スーパーひたち〉に統一しているため、651系も特急〈フレッシュひたち〉で運行するのである(E653系が特急〈スーパーひたち〉で運行することはない)。

8時10分、15番線に団体扱いの臨時特急〈懐かしのはくたか号〉金沢行きが入線。またも撮影隊が多く押し寄せ、撮影が進まない。また、上野寄りでは臨時特急〈懐かしのはくたか号〉金沢行きと特急〈フレッシュひたち8号〉のツーショット撮影が多く、この初顔合わせもイキなはからいのようだ。ちなみに特急〈フレッシュひたち8号〉は折り返し、9時00分発の特急〈スーパーひたち11号〉いわき行きになるものの、臨時特急〈懐かしのはくたか号〉金沢行き入線時、ヘッドマークは特急〈フレッシュひたち〉のままだった。

方向幕はシールだが、「はくたか 金沢(英文字省略)」に“へぇー”である。
それはエル特急〈白山〉も同じ上野-金沢間の運行だったからで、この電車は長野経由。国鉄時代の特急〈はくたか〉は長岡経由だったからである。寝台特急〈ゆうづる〉〈あけぼの〉は同じ上野-青森間でも、東北本線オンリーの運行ではなかったため、経由路線を方向幕に表示していた。

団体運行とあって、ホームの特設スペースでは特製の弁当が特典として利用客に配布していたようだ。市販の時刻表に掲載していたら、まずそういうサービスはないだろう。 9号車寄りではこんな横断幕が広げられていた。
『元気宣言、能登。「懐かしのはくたか号」出発 JR東日本上野駅』

臨時特急〈懐かしのはくたか号〉は2007年3月25日(日曜日)に発生した能登半島地震で、町はすっかり復旧し、観光客を呼び戻そうという企画の目玉として、運行が決定。国鉄時代のルートを再現するという、21世紀初頭(2002年が1番ヒートアップしていた)の“ハヤリ”を久しぶりにやることになったが、今まで特急〈はくたか〉の復刻版はなかった。

特急〈はくたか〉は上越新幹線開業前日に姿を消し、平成9年(1997年)3月22日(土曜日)に第3セクター、北越急行ほくほく線の開業で15年ぶりに復活しているが、これが大きく影響していたのだろう。また、越後湯沢-福井・金沢・和倉温泉間で在来線最高速度の160㎞/h(復活当初は140㎞/h。いずれもほくほく線内)で走っていることもあるし、急行〈能登〉も国鉄時代の特急〈はくたか〉と同じ車両、同じルートであるため、今まで見送られてきたのだろう。
臨時特急〈懐かしのはくたか号〉の運行は決定したものの、2007年7月16日(月曜日・海の日)、平成19年新潟県中越沖地震が発生。青海川で土砂崩れが発生した影響で、信越本線の一部区間が不通となり、ほくほく線経由に変更されたが、9月13日(木曜日)に運転が再開されたため、土壇場(Dotanba)で当初の国鉄時代と同じルートで運行することが実現したのである。

8時28分、ついに発車。運転士はあえてヘッドライトを点灯せず、国鉄時代を再現したが、車体にJRマークが貼っていた。
余談だが、黄色い線の内側で撮影しない人が多く、駅員はマジギレ寸前の状況だった。また、同じ場所にい続けて撮影する人がいたのはいただけない。よそ様のブログでは撮影マナーの悪さに不満を持つ感想がいくつか見受けられた。
原因の1つとして考えられるのはデジカメの普及があげられるだろう。フイルム式とは違い、撮ったその場で確認できるのだから、納得のいかないショットは何度も撮り直す人が多いと思う。コンパクトタイプだと、いくら手ブレ補正機能がついても、ブレないことはないのだ。また、ケータイとデジカメの二刀流撮影もあると思う。
デジカメを買うのなら、ケータイと同じメモリーカードに対応した機種が好ましい。デジカメでタテ撮りし、ケータイで待ち受け画面サイズにリサイズすればいいのだから。
さて、最後に私の特急〈はくたか〉ルポを御紹介しよう。
2006年1月8日(日曜日)、この日もダイヤが乱れており、改札は心配顔のお客ばかり。インターネットカフェを出る前にJR東日本とJR西日本のホームページにアクセスしたが、この時は上越線経由の夜汽車の運休情報はなく、特急〈はくたか〉の一部は長岡発着に変更するだけだったが、15時近くになると、前日以前と同じ結果になった。普通電車も運休がでるほど。
この日はいつもの青春18きっぷを温存し、みどりの窓口で、乗車券と自由席特急券を購入。ちなみに夕方までの特急〈サンダーバード〉、エル特急〈しらさぎ〉は指定席ならびにグリーン車はほぼ満席。

特急〈はくたか15号〉長岡行きの発車は定刻より50分遅れで、自由席は坐れないと予想し、回避。次の特急〈はくたか17号〉長岡行き“WHITE WING”(7号車自由席クハ680-504:中間車扱い)は定刻より30分遅れで、自由席は思惑通りのガラガラ。ちなみに前日、乗った神岡鉄道の利用客もいた。

681系は通算2回目の利用で、北陸では“ポンコツ鈍行”に比べると、アメ色の照明がモノをいって圧倒的に輝いている存在だ。
130㎞/h運転は新快速で慣れているが、雪のため、トンネル以外は控えめに走っている感じ。
糸魚川を発車し、交流から直流に変わるが、照明は消えなかった。いつしか、そういうふうに改良したらしい。
すっかりマックラになった直江津は定刻より35分遅れで到着し、4番線には快速〈くびき野5号〉新潟行きが停まっていたが、当然、先に発車させない!!
乗務員はJR東日本に変わり、信越本線へ。車販はオバサン1人増員(弁当担当?!)。そして、スピードはダウン…
今回は残念ながら、160㎞/hを味わうことはできなかったが、犀潟(Saigata)-長岡間は“古巣”を走る(年に何回かは試運転しているのだろうか?)。それに再び乗る可能性はあるかもしれない。
宮内で10分以上も長ーく止まり、高校生は見慣れぬ“来客”に手を振り、普通電車長岡行きに乗って、なんと先発!! そのあと、急行〈能登〉で使うJR西日本489系の特急〈はくたか18号〉金沢行きが通過!!(15号に乗らなくて、正解)

やぁーっと、終点長岡に到着。上越新幹線〈とき346号〉東京行き(1号車自由席221-1501:リニューアル車)に乗り換えた。
★備考
①今回の動画はこちらにクリック!!
②岸田法眼のRaikway Blog.「暴れん坊583系2002Ⅱ(上野ハロープロジェクト第1弾、臨時特急〈ひばり〉)」はこちらにクリック!!
③まさきんぐの多趣味な毎日「はくたか~、はくたか~」はこちらにクリック!!

★お知らせ
①次回は「2007年の汽車旅4-6」を掲載する予定です(掲載日未定)。
②2007年9月17日(月曜日・敬老の日)で観客動員数19萬3000人、9月18日(火曜日)は19萬4000人を突破しました。ありがとうございます。
③2007年9月17日(月曜日・敬老の日)は1日の観客動員数、917人を記録しました。ありがとうございます。
この記事へのコメント
上野行き13番線と言えば、「北海道」というイメージです。
しかし、「はくたか」のヘッドマーク良いですね。私もこのヘッドマークは写真をたくさん撮っています。専ら北陸でしたけど。
残念ながら、乗ったこと無いです。
「はくたか」いいですね~
上野13番線は寝台特急の指定席ですね。〈カシオペア〉の誕生を機に五つ星広場という待合室ができました。
翌日が15番線というのは意外でした。
「指定席は撮れません」と書いておりますが、正しくは“取れません”ですね。
さて、こういった企画はたいてい撮影は押し合いヘシ合いが多く、まるで大ニュースが発生したときの報道カメラマンみたいなものですね。
ボンネット車両も今やJR西日本だけかな? 以前、JR東日本でもあったことは確かですが、見かけないですね。
私も乗ったことがないですよ。昔から“特急は高嶺の花”みたいな印象があり、“駅で撮るだけ”になっちゃってますね。
確かに1号車は連結器カバーが外しておりますが、9号車は外れておりますね。おそらく、冬季はつけているでしょう。
なお、国鉄時代の〈はくたか〉は碓氷峠経由ではありませんが、〈白山〉と共通運用を組んでいたことは確かだと思います。
またのお越しをお待ちしております。
久しぶりの国鉄〈はくたか〉は思ったより人が多かったですね。
こちらこそ、よろしくお願いします。そして、またのお越しをお待ちしております。
はじめまして。
トラックバックどうもです。
上野駅の賑わいが伝わってきますね。
久しぶりのボンネット「はくたか」でしたが、記録できて良かったです。
福井ではボンネットはごくまれに見かけますね。今では能登が定期列車で走ってるのでボンネット毎日見れるとしたら金沢~上野に訪れると良いです。東日本ではやっぱり金沢から来た能登を上野で見るしかないですね。昔はひたちとかによくボンネットが使われましたからね
高校の時ではあるが授業中にボンネットしらさぎを偶然目撃と言う事もありました。あれは撮りたかったですね・・。ヘッドマークも当時の物でしたし。
大変蒸し暑い中でしたが、熱気や復興キャンペーンの意気込みは伝わりましたよ。
またのお越しをお待ちしております。
大人の世界は厳しいものですよ。
それにしても上野駅の光景も本当に様変わりしましたね。
かつては東北・上越方面の長距離列車の拠点駅でしたが、現在では商業集積が入居しており、通勤や用務の乗換駅の様相を呈しています。
将来東北縦貫線が開業すれば、更に変わってくるでしょうね。
いつのまにか上野も“エキナカショッピング”の街に変貌しましたね。
一部区間を重層高架化して近郊形電車を東京まで運転する計画がありますが、個人的には今まで通りでいいと思います。
確かに、イベント列車運転のときはかなり悪いですね。
自分も気をつけないと...と思いました。
女性にもRailfanが少しずつですが見受けられるようになりました。
昨日鳥取駅で、携帯カメラで撮影しておられました。
もちろん私も撮影してましたけど...
ホームはもみくちゃでしたよ。後方で撮影する人は前で身を乗り出す人々にヤジかなんか言っておりましたね。
イベント列車を運行するのはいいとしても、事前の予告なしで運行するという“無観客列車”を設定するしかないのでしょうか。
おかげさまでアングルの選定が大変でした。
岸田様がこう言う事を仰いましたが世の中には礼儀知らずの大人が居ますが、今日のセカンドライフの記事はそう言った礼儀知らずの実経験を記事として投稿してみました。セカンドライフの生地は鉄道画像は使っても鉄道外になることが多いですし毎日更新していますので岸田様、他の皆様呼んでいただければ幸いかと思います。
http://secondlife.yahoo.co.jp/supporter/article/bBkmk.KTPVewTqduZddjWK4A/35/#top
苛立ちを感じた時がタイトルになっています。実経験を元に投稿しました。
常連様を獲得するには、まずその人の心をつかむことです。さいわい、私の場合はあの手この手を使い、常連様という顧客を得ることに成功しました。
前回も書きましたが、1番力を入れているものに関してはURLの欄に入れることが賢明でしょう。コメント欄にURLを入れても“参考記事”というふうな役割にならないことが多いですね。また、人によっては“宣伝目的”とみなされ、気分を害する方もいます。
呼ぶのではなく、「楽しみにしています」とコメントされるように努めないと実力は身につきません。ツテはただの七光りと思って下さい。
先日は、ご訪問ありがとうございました。
私は列車が好き(乗るのが)で、アメリカでもアムトラックに何回か乗りました。
でも身内には、飛行機にしようといつも大反対されます。
その方が時間もかからないし、格安もあったりで楽なので。
でもめげずにいます。
私も鉄道に乗るのが好きではあるものの、予算の都合で鈍行や快速が多いですね。
飛行機はデメリットが多いので、好みませんが、これからもめげずに鉄道の旅を満喫して下さいね。
しかし、ここほど丁寧に現役時代を再現していたのですね。翼を広げている鳥を描いたヘッドマークを取り付けているが、懐かしい文字のみもあるなど、気配りもあります。ただ、撮影の仕方が悪い人がいるというのはやはり、受け入れがたいですよね。以前運転された「懐かしの特急白山号」では叫びそうになっている駅員氏はおりませんでした・・・。
国鉄時代を再現しなければ、この運行が成立しないのですが、まさか文字のみヘッドマークがあるとは思ってもみませんでした。
デジカメの普及が撮影マナーの悪さに拍車がかかっておりますね。「3枚撮りゃ充分だろ!!」という感じですね。