2006年の汽車旅8-中編-
オマタセ、ベイベー。イッツ・ショータイム。
JR西日本富山から北陸本線の普通電車金沢行き(クハ412-3:弱冷車)に乗り、高岡で万葉線株式会社高岡軌道線〔高岡駅前電停〕の越ノ潟行き(7062:ワンマン運転。非冷房車)に乗り換え。
万葉線株式会社は2002年4月1日、加越能鉄道から引き継いだ第3セクターで、“万葉線”という路線愛称が定着していたことから、新会社もそのようになった。
実は加越能鉄道の時代に1度、乗っているが体調不良の中、強行で出かけたため、全区間フラフラで、車窓は全然と言っていいほど、覚えていない。
前乗りには意表をつかれるが、整理券を取ったあと、運賃箱がどこだかわからない。14時15分の発車後、進行方向左側にあることがわかった。
今どき珍しい非冷房車だが、暑いというのは感じない。窓を全部開けているからだろうが、自然の風のほうが体調を崩すことはないし、路面電車のつりかけ駆動の音を楽しもう。
本丸会館前の直前で、高岡駅前行き(ワンマン運転)と行き違いをするが、広小路から複線となる。
車内の運賃表を見たら、終点越ノ潟まで350円。財布を見たら、10円玉は4枚しかなく、50円玉がないことがわかった。ここで両替をしないといけないのだが、両替機のやり方がよくわからない。古い電車なので、カタも古いのだ。
「ここへ入れればいいの」
とベテランの運転士が言うので、100円玉をポットみたいなところに入れる。すると、運転士はボタンを押し、50円玉1枚と10円玉5枚が登場。地元の人でなければ、わからない世界だ。
米島口-能町口間は道路を離れ、合わせて単線になる。能町口からは軌道になるが、クルマの交通量も少なく、スイスイだ。
新吉久でMLRV1000系“アイトラム”の高岡駅前行き(ワンマン運転)と行き違うが、どう見ても富山ライトレール“ポートラム”と同じ車両だった。
吉久を過ぎ、しばらく走ってから再び道路を離れる。踏切はブリキの音で、北陸鉄道石川線を思い出す。
六渡寺(Rokudohji)は進行方向左側にある木材工場の木のニオイがプーンプン。運転士はなにもしゃべらず、電車は停まりっぱなし。ドアを閉めたら、高岡駅前行き(ワンマン運転)と行き違い、発車。ここから新湊港線へ。左右に揺れつつ、無事に庄川を渡る。風が強いと転落するんじゃないかとヒヤヒヤになる。
中新湊でも高岡駅前行き(ワンマン運転)と行き違い、乗客は私を含め、たった3人で終点越ノ潟に到着。万葉線株式会社完全制覇を達成した。
越ノ潟に“アイトラム”の運行時刻があるのを見つけ、しばらく散策。ようやく、お目当ての高岡駅前行き(MLRV1002-B:ワンマン運転)“アイトラム”が入線した。
2人しか待っていなかったので、確実に席にありつけ、先頭車の最前列へ。前面展望はムリで、車椅子スペースのあるところだが、さいわいなのか、優先席ではない。また、私が坐った進行方向右側最前列の前には補助椅子がある。
乗ってまっさきに感じるのは涼しいこと。冷暖房完備なので、快適。そして、15時45分に発車する。
アイトラムはポートラムと同じ車両だが、前者は白熱灯とグレーとブルーを基調とした座席で、“さわやか感”を演出し、後者は黒を基調とした座席なので、“落ち着き感”がある。
踏切はあっても、遮断機のないところがあり、幼児の女の子がなぜか飛び出していたが、スピードが出ていない分、止まるのは早い。そこは女の子も熟知しているのかもしれないが、はねられたら命を落とす可能性が高いだけに気をつけてもらわないと困る。
両替機、運賃箱は最新の電車なので、わかりやすい。運転士は運転席のひよけにひと苦労。なんせ、窓が大きいのだ。
米島口は万葉線株式会社の所在地で、運転士をChange。旭ヶ丘ではアイトラム同士の行き違いがあった。
前面展望は立たない限り、古い車両のほうが勝るが、走行音は釣り掛け駆動とは比べものにならないほど静か。ノンステップで乗降しやすいことや両替機や運賃箱が現代タイプなので、できれば全車をアイトラム化することを願うのみである。
終点高岡駅前に到着するが、16時25分発の普通電車金沢行きには間に合わず、仕方なく17時02分発の普通電車福井行き(①石動〔Isurugu〕までクハ412-7。②石動からクハ412-6:弱冷車)へ。
ボックスシートが埋まり、仕方なくロングシートに坐るが、車番をチェックしていたら、なんと、ボックスシートがまるまる空いていたので、移動した。しかし、疲労は蓄積し、もうろうとしていた。
福井で一旦下車し、再びホームにあがり、普通電車長浜行き(クモハ413-101)へ。
北陸本線敦賀-長浜間及び湖西線近江塩津-永原間は2006年9月24日(日曜日)に直流電化にChangeし、10月21日(土曜日)にダイヤ改正を行なうが、交流電化としては最後の利用となる。
近江塩津を過ぎると、工事をする駅が多い。新快速が8両編成で運行するようで、ホームの延伸がほとんど。10月21日(土曜日)になると、新快速米原方面近江塩津行き(または敦賀行き)は高槻(東海道本線)と高月(北陸本線)という“同じ読みがなの駅”に停まるので、レールファンの注目も集まるだろう。
終点長浜は新しく新設した4番のりばに到着。年内には521系が発着するだろう。
長浜3・4番のりばは行き止まり式となり、3番のりばは姫路・大阪・米原方面からの折り返しとして、今後も継続使用するが、ここで新快速大阪行き終電(1号車クハ222-1005:弱冷車)に乗り換え。ちなみに長浜と米原は半自動ドア扱いとなっているが、ボタンを押しても開けづらい模様。
できれば、終点大阪まで乗りたかったが、うしろ髪ひかれる思いで、米原でJR東海の東海道本線の普通電車大垣行き(サハ313-14)に乗り換える。
普通電車大垣行きは新快速大阪行き終電のほか、221系の普通電車、223系2000番台の新快速長浜行き、関空特急〈はるか54号〉からの乗り継ぎ客で集結した。
頭にきたのは隣席のオッサン。見ただけでウサンくさい男は「すいません」と言いながら、通路側の席に坐るやいなや、いきなりクツとクツシタを脱ぎ出し、足を前の転換クロスシートの背もたれへ。そこに坐っている茶髪で音楽を聴く若者の男はムッとして、にらみつけていた。
「すいません」
と謝っていたが、それは当たり前だ。そして、終点大垣に到着する頃、ウサンくさいオッサンはクツシタのニオイをかぎながらはいた。人間として、最低だ。ちなみに、だいたひかるさんもそういうお客はイヤだという(ここにクリックすればわかります)。
普通電車岡崎行き(クモハ211-5011:ロングシート。女性車掌乗務)に乗り換え。先ほどより1両少ない3両編成だが、快速〈ムーンライトながら〉東京行きに乗り換えるお客のおかげでラクに坐れた。
岐阜で盛況するものの、地ベタの坐り込み、車内通話など、若者のマナー(さっきのオッサンもそうだけど)の低下にあきれるばかりだ。大人というものは、“常に社会の模範”にならなければならない存在であることを知らないようでは困ったものだ。
名古屋1番線に到着し、この日は名古屋のインターネットカフェに泊まった。
★備考
新快速の敦賀行きは京都方面湖西線経由だと近江塩津、米原方面だと米原で切り離し、そこから先は4両編成で運行する。また、米原方面近江塩津行きも米原で切り離し、そこから先は4両編成で運行する。できることなら、8両編成にして、“乗ったら確実に坐れる”態勢にしていただきたいところである。
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